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『虎に翼』第12週「家に女房なきは火のない炉のごとし?」ネタバレあらすじ感想

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『虎に翼』第12週のあらすじ(俯瞰)

『虎に翼』第12週「家に女房なきは火のない炉のごとし?」は、第56回から第60回(2024年6月17日〜21日放送)の5回です。昭和24年1月、ついに東京家庭裁判所が発足し、寅子は判事補を兼務する裁判官に任官されます。最高裁長官・星朋彦から託されたのは、戦争孤児の救済という重い課題でした。視察に出た寅子は、財布を盗んだ少年を追いかけた先でよねと轟の法律事務所を見つけ、再会を果たします。行き場のない孤児・道男を独断で猪爪家に連れ帰った寅子。家族や多岐川にたしなめられるなか、道男は家を飛び出し、責任を感じたはるが倒れます。死期の迫ったはると道男の対話、そして懐かしい笹山の帰京が、道男の未来に希望の光を差し込ませます。

第56回(6月17日・月)寅子がついに裁判官に任官される

第12週の幕開けとなる第56回は、寅子の長年の夢がかなう節目の回です。昭和24年1月、戦後の司法改革の象徴として東京家庭裁判所が発足します。

家庭裁判所の発足と「五つの性格」

家庭裁判所の設立記念パーティーで、多岐川幸四郎(滝藤賢一)が新しい裁判所が持つ「五つの性格」を熱を込めて説明します。家庭裁判所は、家事事件と少年事件を一手に引き受ける、戦後生まれの新しい司法機関です。多岐川にとっても、この発足は理想を形にした瞬間でした。会場には司法の世界で寅子を支えてきた面々が集い、新時代の到来を実感させる場面となります。

星朋彦からの辞令と託された課題

パーティーのあと、寅子は最高裁判所長官の星朋彦(平田満)から新たな辞令を受け取ります。これまでの最高裁家庭局の仕事に加え、東京家庭裁判所判事補を兼務することになり、寅子はついに念願の「裁判官」に任官されました。星が寅子に期待したのは、戦争で親を失った戦災孤児たちの問題に向き合うことでした。喜びだけでなく、社会の最も弱い立場に立つ子どもたちをどう救うかという重い使命が、寅子の肩に乗せられます。任官の知らせは、明律大学からの長い道のりを思えば感慨深いものでした。

この回で寅子は、判事補という立場を得て、いよいよ実際の裁判の現場へと踏み出していきます。

念願の裁判官任官と同時に、いちばん難しい戦災孤児の課題を背負うあたり、喜びだけで終わらせないのが本作らしいところだそうです。

第57回(6月18日・火)寅子がスリを追ってよね・轟と再会する

第57回は、任官した寅子が戦争孤児の集まる街へ視察に出る回です。机の上ではなく、現実の街角で問題と向き合うことになります。

盗まれた財布を追いかけた先で

戦災孤児があふれる街を視察していた寅子の一行。その最中、小橋(名村辰)の財布がスリの少年に盗まれてしまいます。少年たちのリーダー格である道男(和田庵)を追いかけた寅子がたどり着いたのは、一軒の法律事務所でした。かつてカフェー「燈台」があった場所に、よね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)が事務所を構えていたのです。思いがけない場所での再会に、物語の旧友たちが再び交わります。

喜ぶ轟と、心を開かないよね

寅子が判事補になったと聞いた轟は、我がことのように喜び、再会を心から歓迎します。一方でよねは、寅子に対してかたくなに冷たい態度を崩しません。明律大学時代をともにした三人の、それぞれに変わったものと変わらないものがにじむ場面です。事務所には行き場のない子どもたちが身を寄せており、よねと轟は彼らに手を差し伸べていました。多岐川もまた、子どもたちに必ず手を差し伸べると約束します。戦後の社会が抱える孤児問題の深さが、登場人物それぞれの立ち位置を通して描かれます。

スリの一件をきっかけに、寅子は道男という一人の少年と深く関わっていくことになります。

よねの冷たさは理屈ではなく感情の問題で、簡単に和解させないところに脚本の誠実さがあるという見方が多かったようです。

第58回(6月19日・水)寅子が道男を独断で猪爪家に引き取る

第58回は、寅子の正義感が家族との摩擦を生む回です。行き場のない道男を前に、寅子は理屈より先に体が動いてしまいます。

相談なしの決断と家族の戸惑い

預かり先の見つからない道男を、寅子は誰にも相談せず、衝動的に猪爪家へ連れて帰ります。はる(石田ゆり子)をはじめとする家族はあきれながらも、その場の流れで道男を受け入れることになります。寅子はあくまで「預かり先が見つかるまで」という条件で、いつもより早めに帰宅したい旨を申し出ます。困っている子どもを放っておけない寅子らしさが出る一方で、後先を考えない危うさも同時に描かれます。

多岐川からの注意と、視察同行の命令

家裁の同僚たちからも、寅子の独断は軽率だと注意されます。子どもを救う仕事に就いた当人が、まず手続きや周囲との合意を欠いてしまうという皮肉な構図です。さらに多岐川は寅子に対し、全国の家庭裁判所を視察する出張への同行を命じます。道男を家に置いたまま、寅子は家を空けなければならなくなり、不安の種が残されます。善意だけでは回らない現実が、じわじわと猪爪家に影を落としていきます。

寅子の留守が、この後の出来事の引き金になっていきます。

第59回(6月20日・木)はるが倒れ、道男に「死ぬ」と告げる

第59回は、第12週で最も視聴者の心を揺さぶった回です。道男の家出をきっかけに、はるの身に大きな異変が訪れます。

道男の家出と、倒れるはる

猪爪家になじめない道男は、ついに家を飛び出してしまいます。「泊めると言い出したのは自分だ」と責任を感じたはるは、心労がたたって倒れてしまいます。出張から事態を知った寅子は、はるに会わせようと道男を探しに上野へ向かい、よねと轟を訪ねます。家族の温かさに触れる前に去ってしまった少年を、なんとか連れ戻そうとする寅子の必死さが伝わる展開です。

「ばあちゃん、死ぬのかよ?」「死ぬ」

寅子の説得を受け、死期の迫るはるのもとへ道男が向かいます。「ばあちゃん、死ぬのかよ?」とまっすぐに問う道男に、はるは「死ぬ」とだけ短く答えます。この飾らないやり取りはSNSで大きな反響を呼び、「この返しは初めて見た」「死ぬと聞かれて死ぬと答えるのは斬新」といった声が多く寄せられたようです。はるは道男を優しく抱きしめ、「一人でよくここまで生きてきた」とねぎらいます。実は、長男の直道が生まれたとき名づけようとしていたのが「道男」という名であり、その名を聞いたはるは亡き直道を思い出し、この子に何かしてあげたいと願っていたのでした。

湿っぽくならない「死ぬ」の一言が、かえって涙を誘ったという感想が多かったようです。はるらしい潔さが効いていますね。

第60回(6月21日・金)笹山が帰京し、道男の進路に光が差す

第12週を締めくくる第60回は、別れと再会が同時に訪れる回です。はるとの対話を経て、道男の未来に思いがけない希望が灯ります。

はるとの語らいと、花江への謝罪

はる(石田ゆり子)と心ゆくまで語り合った寅子たち。道男は花江(森田望智)に対して家出の件を謝り、花江はその謝罪を受け入れます。猪爪家の人々は、道男を一時の預かりではなく、一人の人間として向き合おうとしていきます。死を前にしたはるが残す言葉と、家族の和解が静かに重なり、第12週のテーマである「家」のあたたかさが浮かび上がる場面です。

笹山の帰京と、道男の弟子入り

道男の将来に自分は何ができるのかと悩む寅子は、懐かしい人物と再会します。それは、裁判の傍聴を趣味とし、父のように寅子を見守ってきた寿司職人・笹山(田中要次)でした。第35回以来の再登場で、戦争の影響で店を畳み故郷へ疎開していた笹山が、東京で再び寿司屋を開くために帰ってきたのです。笹山は寅子の頼みを快く引き受け、道男を住み込みの弟子として迎え入れます。行き場のなかった少年に「手に職」と居場所が与えられ、視聴者からは「最高の再登場」「人の縁が救った」と歓迎の声が上がりました。第60回は第12週の最高視聴率18.1%を記録しています。

はるの最期が近づくなか、次の世代へとバトンが渡される、希望の余韻を残す締めくくりとなりました。

忘れたころに笹山さんが戻ってきて道男を救う展開に、「伏線とは言わないけれど縁がつながった」と喜ぶ声が目立ったようです。

『虎に翼』第12週のネタバレまとめ

第12週では、昭和24年1月に東京家庭裁判所が発足し、寅子が判事補を兼務する裁判官に任官されました。最高裁長官・星朋彦から戦争孤児の救済という課題を託された寅子は、視察先でスリの少年・道男を追ううち、よねと轟の法律事務所に再会します。行き場のない道男を独断で猪爪家に引き取った寅子は、家族や多岐川にたしなめられ、さらに全国の家裁視察への同行を命じられます。道男の家出に責任を感じたはるが倒れ、死期の迫るはるは道男を抱きしめ和解します。最後は笹山が帰京し、道男を寿司職人の弟子に迎えることで、少年の進路に希望が差しました。家庭裁判所の理想と、一人の孤児の救済を重ねて描いた週でした。

『虎に翼』第12週──脚本の選択を読む

第12週は、寅子の「裁判官任官」という個人的な栄光を、あえて戦災孤児という社会の最も重いテーマと同じ週に置いた構成が特徴です。喜びの辞令と、救いきれない子どもたちの現実を並走させることで、家庭裁判所が掲げた理想の高さと難しさを同時に見せています。道男という一人の少年に焦点を絞ったのも、抽象的な社会問題を「顔のある一人」に落とし込む脚本の選択だと言えそうです。モデルとされる三淵嘉子も、発足直後の家庭裁判所で少年事件や戦災孤児の問題に深く関わったとされ、ドラマの描写は史実の方向性と重なります。はるの死を予感させながら、笹山の帰京で希望を残す配置は、悲しみ一色にしない朝ドラらしい呼吸の作り方かもしれません。

栄光と喪失を同じ週に詰め込みながら、最後は笹山さんで救う。重さと軽さのバランスがこの週の妙だと言われているそうです。
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