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『マッサン』第10週「灯台下暗し」ネタバレあらすじ感想

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『マッサン』第10週のあらすじ(俯瞰)

『マッサン』第10週「灯台下暗し」は、第55回から第60回(2014年12月1日〜6日)の週6話で描かれます。鴨居商店に工場長として迎えられた亀山政春(玉山鉄二)は、スコットランドに風土が似た北海道での工場建設を夢見ますが、大将・鴨居欣次郎(堤真一)はあっさり却下し、大阪に近い「山崎」を指名します。納得のいかない政春は不満を募らせ、家の改築を勝手に進めるエリー(シャーロット・ケイト・フォックス)ともすれ違いが生じます。やがて政春は山崎の土地がウイスキーづくりに向いていることに気づき、鴨居の選択眼に脱帽。職人探しに行き詰まる中、エリーが広島へ送った一通の手紙が事態を動かします。週の終わり、エリーは政春に大きな知らせを告げるのでした。

第55回(12月1日・月)政春の夢を鴨居が即座に却下する

第10週「灯台下暗し」の初回は、工場長となった政春が描く理想と、それを許さない現実とのギャップから幕を開けます。北海道への思いを語る政春の表情と、鴨居の一言の落差が、この週全体の伏線になります。

北海道工場の夢と鴨居の即答

鴨居商店への入社が決まった政春は、スコットランドと風土が似た北海道に工場を建てたいと夢を語ります。冷涼な気候こそ本場のウイスキーに近い、という確信からの提案でした。ところが鴨居は、輸送コストや効率の面からこれをあっさり退け、大阪に近い「山崎」を候補に挙げます。理想を一刀両断された政春の落胆がにじむ場面です。職人は腕の良い蔵人を広島から呼び寄せたい、という構想も政春は語りますが、その実現はまだ遠い段階にとどまります。

エリーが言い出せない「欲しいもの」

就職祝いに何かプレゼントをしたいと申し出る政春に対し、エリーはなぜか欲しい物を口にできません。普段は率直なエリーが言葉を濁す様子は、視聴者に小さな違和感を残します。この「言い出せなさ」が週の終盤に向けて静かに効いてくる構成になっています。仕事の壁にぶつかる政春と、何かを抱えるエリー。夫婦それぞれの胸の内が並んで描かれ、次回への引きとなります。

第56回(12月2日・火)職人面接の方針をめぐり政春と鴨居が衝突する

第56回は、ものづくりへの向き合い方の違いが、政春と鴨居のあいだに表れる回です。一人ひとりと向き合いたい政春と、勘で見抜く鴨居。対照的な流儀がぶつかります。

面接方針の食い違い

職人採用の面接で、政春は一人ずつ丁寧に話を聞いて見極めたいと考えます。一方の鴨居は三人ずつまとめて会い、ひとつの「一芸」を見て即決していくやり方を取ります。手間をかけて人を選びたい政春には、その効率重視のやり方がどうしても腑に落ちません。理想を貫きたい職人気質の政春と、商いの感覚で動く経営者・鴨居の差が、面接という場で浮き彫りになります。不満を溜め込む政春の姿が印象に残る場面です。

山崎の下見とエリーの励まし

山崎の工場用地を下見に向かう段になっても、政春の心はまだ北海道に残ったままです。そんな政春に、エリーは「日本人はどんな土地にでも順応する。工夫すればできる」と声をかけ、前を向くよう励まします。理想の地でなくとも、与えられた場所で工夫を重ねれば道は開ける――エリーの言葉が、頑なになっていた政春の背中をそっと押します。夫婦のすれ違いが続く中でも、肝心なところでエリーが支えになる構図が見えてきます。

理想の北海道を断たれてもエリーが「工夫すればできる」と励ます。この週の夫婦のすれ違いと支え合いを象徴する一言だったようです。

第57回(12月3日・水)政春が山崎の地と鴨居の選択眼に脱帽する

第57回は、不満からスタートした政春の心が、現地で大きく動く回です。「灯台下暗し」というタイトルの意味が、ここで実感を伴って立ち上がってきます。

山崎がウイスキーづくりに適していた理由

実際に山崎の地を確かめた政春は、ここがウイスキーづくりに思いのほか適していることを発見します。良質な水に恵まれた土地の条件は、北海道に固執していた政春の目を覚まさせるものでした。身近にこそ最適解があった――まさに灯台下暗しを地で行く気づきです。理想の北海道を退けた鴨居の判断が、実は的を射ていた。政春は鴨居の選択眼にあらためて脱帽します。

鴨居が山崎を選んだ本当の狙い

ところが鴨居が山崎を選んだ理由は、水や気候だけではありませんでした。宣伝に便利な鉄道が近いこと――この立地の利こそ、鴨居がこだわった大きな要素だったのです。将来は工場見学を実施して人を呼び、ウイスキーそのものを広めていく。商売人らしい先を見据えた着想に、政春は驚かされます。つくる職人の発想と、売る経営者の発想。その両輪が噛み合いはじめる転機の回です。

「灯台下暗し」は、身近なことほど気づきにくいという意味のことわざだそうです。北海道に向いていた政春が足元の山崎に答えを見つける流れと、見事に重なっています。

第58回(12月4日・木)エリーの手紙が俊夫を大阪へ呼び寄せる

第58回は、行き詰まっていた職人探しに、思わぬ形で光が差す回です。動いたのは政春ではなく、エリーでした。

突然あらわれた俊夫

腕の良い職人がなかなか見つからず、工場づくりの歯車が噛み合わない政春。そんな政春とエリーの前に、俊夫(八嶋智人)が突然あらわれます。広島で酒づくりに関わってきた俊夫の登場は、二人にとって思いがけない出来事でした。酒づくりに情熱を持ち、ときに政春とぶつかり合うことになる俊夫が、ここから本格的に物語へ加わっていきます。

エリーが動かした一通の手紙

俊夫が現れたのは偶然ではありませんでした。実はエリーが広島へ手紙を出し、俊夫を大阪へ呼び寄せていたのです。夫の窮地を黙って見ているのではなく、自分にできることを探して先回りする。言葉の壁を抱えながらも日本で生きてきたエリーらしい、芯の強さがにじむ行動でした。政春は俊夫を鴨居に引き合わせ、職人として入社を認めさせようと動きます。エリーの一手が、停滞していた工場づくりを一気に前へ進めます。

職人探しの突破口を開いたのが、夫ではなくエリーの手紙だったのが印象的です。支えられるだけでなく自ら動くヒロイン像が、この回でも貫かれていたようです。

第59回(12月5日・金)俊夫の入社で工場づくりが動き出す

第59回は、加わった俊夫を軸に、工場づくりの体制が固まっていく回です。職人を得たことで、政春の構想がいよいよ現実味を帯びてきます。

鴨居と俊夫、職人としての入社

エリーが呼び寄せた俊夫を、政春は鴨居に引き合わせます。一筋縄ではいかない俊夫と、勘で人を見抜く鴨居。一癖ある者同士の顔合わせを経て、俊夫は職人として鴨居商店に迎えられていきます。腕利きの職人を求めていた政春にとって、ようやく現れた頼れる戦力でした。立地が決まり、人が揃いはじめる。山崎工場の輪郭が、ここでぐっと具体的になっていきます。

すれ違いを越えていく政春とエリー

週の前半では仕事の不満から夫婦のあいだにぎくしゃくした空気も流れていましたが、職人を得て前進する政春の表情には、再び張りが戻ってきます。理想の北海道を諦め、山崎で工夫を凝らす――エリーが背中を押した「順応」の道を、政春は着実に歩みはじめます。エリーが言い出せずにいた「欲しいもの」の正体も、いよいよ明かされる気配が漂い、週の締めくくりへと向かっていきます。

第60回(12月6日・土)エリーが政春に新しい命を告げる

第10週の最終回は、工場づくりの前進と、家族に訪れる大きな喜びが重なる回です。エリーが胸に秘めていたものの正体が、ついに明かされます。

整いはじめたウイスキーづくりの土台

立地が山崎に定まり、俊夫という職人も加わって、ウイスキーづくりの準備がいよいよ整っていきます。北海道への夢を一度は手放した政春でしたが、足元の山崎で工夫を重ねる覚悟が固まり、夢の実現に向けた土台がようやく形になってきました。理想と現実のあいだで揺れた一週間を経て、政春は前を向きます。仕事の手応えをかみしめる政春の姿が描かれます。

エリーが告げた知らせ

そして週の終わり、エリーは政春に待ち望んだ知らせを告げます。新しい命を授かったのです。第55回でエリーが「欲しいもの」を言い出せずにいたこと、その奥にあった思いが、ここで一つに結ばれます。仕事も家庭も明るい方向へ動き出し、亀山家にこのうえない喜びが訪れた瞬間でした。ただし、この幸福の直後に試練が待っていることは、次週「子に過ぎたる宝なし」へと引き継がれていきます。

エリーが言えなかった「欲しいもの」が新しい命だったとわかる構成です。週の頭に置かれた小さな違和感が、最終回で回収される作りになっていたようです。

『マッサン』第10週のネタバレまとめ

第10週「灯台下暗し」は、政春が理想の北海道を断たれながらも、足元の山崎にウイスキーづくりの最適解を見いだす一週間でした。面接方針をめぐる鴨居との衝突や夫婦のすれ違いを経て、政春は鴨居の選択眼と先を見据えた商才に脱帽します。職人探しの突破口を開いたのはエリーの手紙で、広島から俊夫が加わり、工場づくりは一気に前進。立地と人が揃い、ウイスキーづくりの土台が整いました。そして週の最後、エリーが新しい命を授かったことを政春に告げ、亀山家に大きな喜びが訪れます。第55回でエリーが言い出せずにいた「欲しいもの」の伏線が、ここで回収される構成でした。

『マッサン』第10週──物語の読みどころ

この週の妙味は、タイトル「灯台下暗し」が物語の二つの層で響き合っている点にあります。一つは仕事の層。北海道に向いていた政春の目が、退けられた末に足元の山崎へ向き、そこに最適解があったと気づく――まさに身近なものほど見えにくい、ということわざそのものの展開です。もう一つは家庭の層で、政春が仕事の壁にかかりきりになるあいだ、エリーは言い出せない思いを抱え、なお夫のために手紙まで出して職人を呼び寄せていました。最も近くにいる妻の働きと変化に、政春はなかなか気づけない。その「灯台下暗し」が、新しい命の告白で温かく回収されます。理想を手放して工夫へ向かう過程に、エリーの「順応すればできる」という言葉を重ねた脚本の運びも、夫婦の物語として腑に落ちる作りだったのではないかな、と感じられます。

仕事の「灯台下暗し」と、すぐそばにいる妻の思いに気づけない「灯台下暗し」。二重の意味でタイトルが効いている週だったように思います。
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