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『らんまん』第6週「ドクダミ」ネタバレあらすじ感想

NHK連続テレビ小説『らんまん』の第6週「ドクダミ」では、高知・佐川を飛び出した槙野万太郎(神木隆之介)が竹雄(志尊淳)とともにいよいよ東京に到着する。第26回から第30回(2023年5月8日〜12日)の5日間を通じて、学友・広瀬佑一郎との再会と別れ、貴重な標本の紛失・奪還、根津の十徳長屋への入居、そして植物学者・牧野富太郎の人生の転機となる東京大学植物学教室への出入り許可まで、物語は一気に加速する。

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目次

『らんまん』第6週「ドクダミ」のあらすじ(俯瞰)

第6週は、東京の地を踏んだ万太郎が次々と壁にぶつかる5日間として描かれる。旧知の学友・広瀬佑一郎(中村蒼)からは荷物の多さを理由に下宿を断られ、神社でのわずかな隙に大切な標本入りのトランクを盗まれる。その後、根津の薄暗い長屋にドクダミが密生する中で新たな拠点を見つけ、万太郎はそこを「十薬の十徳長屋」と名付けて気に入る。週の終わりには植物学者・野田基善(田辺誠一)が手配した紹介状を手に東京大学植物学教室を訪問し、田邊教授(要潤)から出入りの許可を得る。上京という選択が現実の困難とともに動き始める週だ。

第26回(5月8日・月曜)広瀬佑一郎に下宿を断られ、途方に暮れる万太郎

東京に着いた万太郎と竹雄を最初に迎えたのは、名教館時代の学友・広瀬佑一郎(中村蒼)だった。しかし再会の喜びは長く続かなかった。

名教館の仲間との再会と、植物標本の壁

佑一郎はすでに東京で堅実な暮らしを築いていた。万太郎が大荷物を抱えて現れ、標本箱や植物採集道具が山積みになった場面で、佑一郎は困惑の表情を見せる。「荷物が多すぎる」という理由での下宿拒否は、学問の場としての東京と、万太郎の「植物を担いで生きる」という姿の齟齬を端的に表す場面だ。万太郎は高知・佐川の商家の当主でありながら、東京では荷物持ちの旅人でしかない。佑一郎との友情は壊れたわけではなく、断り方も丁寧なものだったが、万太郎にとって「東京は思っていたより難しい場所だ」と実感する第一打になった。この場面は、後に万太郎が植物学者として孤立と連帯を繰り返す人生の縮図として機能している。史実の牧野富太郎も、1884年(明治17年)の本格的な上京当初は宿探しに苦労したとされており、ドラマはこの逸話を下宿拒否という形で具体化している(出典:牧野富太郎記念館公式)。

博物館の野田基善が差し出す紹介状

途方に暮れた万太郎が向かったのは、上野の博物館で知り合った植物学者・野田基善(田辺誠一)のもとだった。野田は万太郎の熱意と「土佐植物目録」の質を認めており、東京大学植物学教室への紹介状を用意してくれる。この紹介状が第6週全体を貫く「東京での居場所探し」の鍵となる。第26回は、拒絶と援助という対照的な人間関係を同じ回に配置することで、万太郎が置かれた環境の複雑さを1話に凝縮している。視聴率は16.6%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)で、第5週の最終回から引き続き高い数字を維持した。

史実の牧野富太郎が東京大学植物学教室への出入りを許可されたのは1884年(明治17年)7月。ドラマの野田基善にあたる人物として、国立博物館(当時は博物局)の田中芳男が牧野を矢田部教授に紹介したとされる(出典:国立国会図書館「牧野富太郎肖像」解説)。

第27回(5月9日・火曜)神社でトランクを盗まれた万太郎

第27回は、万太郎が高知から持参した貴重な標本を収めたトランクが盗まれるというアクシデントを軸にした回だ。

一瞬の気のゆるみが招いた標本の紛失

道中、万太郎が神社の境内で手を合わせた隙間に、見知らぬ者がトランクを持ち去ってしまう。このトランクには高知の野山で採取し、丁寧に処理した植物標本が詰まっていた。標本は単なる荷物ではなく、万太郎がこれまで費やした観察・採集・乾燥・記録のすべてが凝縮された「研究の原資」だ。東京大学植物学教室へ持参するつもりで大切にしていたものを失った万太郎の動揺は、単なる物の損失ではなく、学者としての出発点を奪われた衝撃として描かれる。竹雄はすぐに「取り戻しましょう」と走り出し、二人で探し回るが手がかりはなかなかつかめない。

東京という都市の雑踏と、標本という「時間の結晶」

第27回のドラマとして優れているのは、「標本を盗まれた」という事実を通じて、東京という都市の匿名性と危うさを示している点だ。佐川では顔が見える共同体の中で生きてきた万太郎にとって、見知らぬ人が行き交う東京の雑踏は、自分の宝を守る術をまだ持っていない場所だ。神社で手を合わせたのは旅の無事を祈る自然な行動だったが、その一瞬が命取りになる。この皮肉な設定は、万太郎の無防備さと東京という環境のギャップを鮮やかに示している。視聴率は15.4%で週平均を若干下回ったが、翌28回に向けた伏線回として機能している。

第28回(5月10日・水曜)質屋でトランクの行方が判明する

第28回は、標本問題の決着と、根津の長屋という新たな拠点の発見という二つの展開を一話に収めた回だ。

質屋に持ち込まれたトランクを奪還する

万太郎と竹雄が手がかりを追って根津の質屋を訪ねると、万太郎のトランクを持った女が現れる。トランク本体は取り戻せたものの、中の標本はすでに抜き取られており、肝心の植物標本が消えていた。標本のなくなったトランクだけを抱えて路地に立った万太郎の表情は、失意と決意が混ざったものだ。竹雄は「また作れますか」と聞くが、採取した場所に戻らなければ同じものは得られない標本の性質を、万太郎は言葉少なに説明する。この場面は、植物標本が「いつでも手に入るものではなく、その場所・その季節に植物と出会った一回性の記録だ」ということを視聴者に伝える機能を持っている。

根津の長屋、ドクダミが迎えた新しい住まい

トランクを取り戻した後、万太郎と竹雄がたどり着いたのは根津の薄暗い長屋だった。その路地にはドクダミが密生していた。ドクダミは日陰の湿地を好む多年草で、独特の臭気から敬遠されることも多いが、生薬としては「十薬(じゅうやく)」という名前で親しまれ、10の薬効があるとされる。万太郎はこの薄暗い路地を嫌うどころか、ドクダミの白い花をしゃがんで観察し、「十薬の十徳長屋だ」と笑う。この場面は、第6週のタイトル「ドクダミ」が単なる植物名ではなく、「嫌われ者の植物が持つ本当の価値を見抜く万太郎の目」を象徴していることを示している。視聴率は16.1%に回復した。

ドクダミの学名はHouttuynia cordataで、牧野富太郎が標準和名「ドクダミ」を広めた経緯がある。牧野は生薬名の「十薬」と俗称「ドクダミ」の両方を記録に残しており、ドラマで万太郎が「十薬の十徳長屋」と言う場面は、牧野富太郎の植物知識を忠実に反映している。

第29回(5月11日・木曜)十徳長屋の住人たちとの出会い

根津の十徳長屋に入居した万太郎と竹雄を迎えたのは、個性豊かな住人たちだった。第29回は、万太郎の東京での生活の土台となる「人間関係の地図」が描かれる回だ。

長屋の住人たちと万太郎の「植物目線」

十徳長屋には、様々な職業・境遇の人々が暮らしていた。万太郎は引っ越し初日から長屋の路地でドクダミをしゃがんで観察し、住人たちに「何をしているのか」と声をかけられる。万太郎が「この草は十種の薬効があって、昔から家の近くに植えられてきた」と説明すると、ドクダミを雑草として踏みにじっていた住人たちが「そんな薬があったのか」と興味を持つ。植物の名前と知識が、見知らぬ人たちとの最初の橋渡しになるというこの構造は、万太郎が生涯を通じて植物学で人とつながっていく生き方の縮図だ。竹雄は万太郎が長屋に馴染もうとする姿を温かく見守りながら、自分の仕事探しも始める。

竹雄が仕事を見つけ、二人の分業が始まる

第29回では、万太郎が研究に専念できるよう、竹雄が働き口を探し始める動きが本格化する。万太郎は植物の観察と採集・記録に時間を費やし、竹雄は生活を支える仕事に就くという役割分担は、史実の牧野富太郎の上京生活とも重なる。牧野は最初の東京生活では峰屋(岸本家)からの仕送りで生活しており、後に資金繰りに苦労した時期を経て、東京帝国大学で助手の職を得る。ドラマはこの史実を圧縮・再構成しながら、竹雄という架空の人物を通じて「研究者を支える無名の人間の存在」というテーマを描く。第29回の視聴率は17.5%で、第6週の最高視聴率を記録した。

第30回(5月12日・金曜)田邊教授が万太郎の出入りを許可する

第6週の締めくくりとなる第30回は、東京大学植物学教室への出入り許可という、『らんまん』の物語全体にとって最も重要な転換点の一つを描く回だ。

青長屋の教室に飛び込んだ万太郎

野田基善の紹介状を手に、万太郎は東京大学植物学教室が入る「青長屋」と呼ばれる校舎に足を踏み入れる。すでに西洋の植物学が本格的に根付きつつある教室で、助教授・徳永(田中哲司)や講師・大窪(今野浩喜)は、小学校中退の民間人が教室に出入りすることに強く反対した。しかし万太郎は強引に前に進み、自ら作製した「土佐植物目録」を差し出す。植物画の精度と記録の詳しさに、反対していた大窪が一瞬言葉を失う場面は第30回のクライマックスだ。

「土佐植物目録」が田邊教授の目を開かせた瞬間

教授・田邊(要潤)は小学校中退だと知った上でなお万太郎の「土佐植物目録」を手に取り、じっくりと目を通した。田邊の目が止まったのは、当時の東京大学が未記録としていた可能性のある土佐の固有種が複数含まれていたためだとドラマは示唆している。「出入りを許可する」という田邊の言葉は、万太郎にとって東京での最初の「認められた」経験だ。史実において田邊教授のモデルとなった矢田部良吉は、アメリカ・コーネル大学で植物学を修め帰国した最先端の研究者で、牧野の観察記録の質を高く評価したとされる(出典:高知新聞「牧野富太郎と矢田部良吉」2023年5月)。第30回の視聴率は17.1%で、週平均16.5%と『らんまん』全体の中でも高水準の週となった。

田邊教授のモデル・矢田部良吉は1878年(明治11年)に東京大学植物学教室初代教授に就任した。「土佐植物目録」に相当する牧野の記録を見た矢田部が当初は協力的だったことは複数の資料が伝えており、後の対立との対比が歴史的な皮肉として知られる(出典:東京大学小石川植物園公式)。

『らんまん』第6週「ドクダミ」ネタバレまとめ

  • 万太郎と竹雄が東京に到着し、名教館時代の学友・広瀬佑一郎(中村蒼)に下宿を断られる
  • 博物館の野田基善(田辺誠一)が東京大学植物学教室への紹介状を準備してくれる
  • 神社で手を合わせた隙に標本入りトランクを盗まれる(第27回・視聴率15.4%)
  • 根津の質屋でトランク本体を取り戻すが、中の標本はすでに抜き取られていた
  • ドクダミが密生する根津の長屋にたどり着き、「十薬の十徳長屋」と名付けて入居
  • 万太郎がドクダミの生薬名「十薬」の知識で長屋住人と初めて交流する
  • 竹雄が仕事探しを開始し、万太郎との役割分担が始まる
  • 東京大学植物学教室(青長屋)を訪問し、助教授・徳永と講師・大窪に反対される
  • 万太郎が「土佐植物目録」を差し出し、田邊教授が出入りを許可する(第30回)
  • 第29回が週最高視聴率17.5%、週平均は16.5%を記録

第6週のモデル史実との対応──牧野富太郎の上京と根津の長屋

第6週の物語は、史実の牧野富太郎の1884年(明治17年)の上京に対応する。牧野は同年7月、22歳で高知を発ち東京大学理学部植物学教室(当時はまだ「帝国大学」発足前の東京大学)を訪問した。矢田部良吉教授との初対面で植物記録を披露し、教室への出入りを許可された経緯は、ドラマで描かれた流れとほぼ一致している。

根津という地名も史実に基づいている。牧野富太郎は東京滞在中の初期、文京区根津周辺に下宿していたとされる。根津は当時から学者や文化人が集まるエリアで、東京大学(本郷)からも徒歩圏内にあった。ドクダミという植物名がこの週のタイトルに選ばれた理由として、根津の長屋の路地に群生しやすいドクダミの生態と、万太郎が「嫌われ者の植物に本当の価値を見る」という目線が一致している点が挙げられる。

一方、史実との相違点として、「土佐植物目録」という呼称はドラマのアレンジだ。実際の牧野は上京前から複数の植物目録・図譜を作製していたが、「土佐植物目録」という統一タイトルの文書の存在は確認されていない。ドラマはこれを万太郎の「持参した研究成果」として象徴的に一つにまとめている。

第6週の演出・映像──ドクダミの白と根津の暗がり

第6週で印象的なのは、根津の長屋という空間の映像設計だ。十徳長屋は陽光が届きにくい路地に建っており、その暗がりにドクダミの白い花が点在する構図は、どこか「日向を好まない植物が持つ密やかな美しさ」を体現している。万太郎が初めて路地のドクダミにしゃがみ込む場面のカメラは低い位置から草の高さに合わせており、万太郎の視点(植物の目線)でドクダミを見せる演出が徹底されている。

また、東京大学植物学教室「青長屋」の内部の映像は、西洋の器具・顕微鏡・分類標本が整然と並ぶ空間として撮影されており、高知の野山で採集した素朴な標本を手に現れた万太郎との対比が明確だ。田邊教授が「土佐植物目録」を手にするシーンでのアップは、教授の視線の動きと手の動きで「これは本物だ」という評価を言葉なしに伝えている。

根津周辺は、夏目漱石の『三四郎』にも登場する文京区の旧市街で、明治期から学者・文人が集まるエリアとして知られた。万太郎が根津の長屋に入居する設定は、東京大学(本郷)への徒歩アクセスという実用上の理由とともに、学問・文化の息づく土地柄を反映している。

第6週の登場人物・キャスト

第6週に登場する主要キャストを一覧にする。東京編の核となる人物が続々と登場する週だ。

役名俳優第6週での動き
槙野万太郎神木隆之介東京到着。トランク盗難→奪還。十徳長屋入居。田邊教授から出入り許可を得る
竹雄志尊淳万太郎と行動をともにし、東京での仕事探しを開始
広瀬佑一郎中村蒼名教館時代の学友。東京で再会。荷物の多さを理由に下宿を断る
野田基善田辺誠一博物館の植物学者。東京大学植物学教室への紹介状を用意
田邊彰久要潤東京大学植物学教室教授。万太郎の「土佐植物目録」を評価し出入りを許可
徳永政市田中哲司東京大学植物学教室助教授。万太郎の出入りに強く反対
大窪昭三郎今野浩喜東京大学植物学教室講師。万太郎の植物画を見て一瞬沈黙する

第6週の名シーン・名セリフ

第6週で語り草となった場面を3点取り上げる。

まず、第28回の「ドクダミ発見シーン」だ。根津の薄暗い路地でドクダミを見つけた万太郎が「十薬の十徳長屋だ」と笑い飛ばす場面は、東京での失意と希望が一枚に重なる瞬間として記憶される。プロデューサーへのインタビューで「万太郎にとって植物はどんな場所でも居場所になる」という言葉が語られており、この場面はその象徴として位置づけられた(出典:NHKウェブサイト「らんまん」制作裏話、2023年)。

次に、第30回の「田邊教授が土佐植物目録を手にする」場面だ。助教授・大窪が言葉を失う表情と、田邊教授がページをめくる手の動きだけで「これは本物だ」という評価が伝わる無言の演技は、多くの視聴者が注目した場面だ。要潤が演じる田邊教授の静かな目線の演技は放送後に高く評価され、「田邊教授の眼差し回」として視聴者から言及された(出典:ORICON NEWS、2023年5月15日)。

そして第29回の「長屋住人との植物トーク」だ。万太郎が十薬(ドクダミ)の効能を説明すると、踏みつけていた住人たちが「そんな薬が足元に生えていたとは」と驚く場面は、「無名の植物に光を当てる植物学者」という万太郎のアイデンティティを日常的なスケールで示す場面として好評を得た。

第6週の視聴率

『らんまん』第6週「ドクダミ」の視聴率(関東地区・ビデオリサーチ調べ)は以下の通りだ。第26回16.6%、第27回15.4%、第28回16.1%、第29回17.5%、第30回17.1%で、週平均は約16.5%だった。第29回(5月11日・木曜)が週の最高視聴率となっている。2023年春の連続テレビ小説として高い水準を維持した週だ。

次週・第7週「ボタン」の見どころ

第7週「ボタン」では、東京大学植物学教室に通い始めた万太郎が学生たちの前で植物標本の作製を実演し、その技術の高さで周囲を驚かせる。一方、根津の菓子屋・白梅堂の娘・寿恵子(浜辺美波)が叔母のみえから鹿鳴館のダンス練習に誘われ、反対する母をよそに憧れを抱く。万太郎は寿恵子の好きな植物が「ボタン(牡丹)」だと知り、精緻なボタンの植物画を描いて持参する。史実の牧野富太郎が同時期に牡丹の植物画で卓越した技術を発揮したことは複数の文献で証明されており、この週は「万太郎の絵と寿恵子の夢」が交差する重要な週となる。

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全話まとめ | 第7週「ボタン」→

【出典】
・NHK「らんまん」公式サイト https://www.nhk.or.jp/ranman/
・牧野富太郎記念館(高知県立牧野植物園内)公式 https://www.makino.or.jp/
・東京大学小石川植物園公式「牧野富太郎博士」解説
・国立国会図書館「近代日本人の肖像・牧野富太郎」
・高知新聞「牧野富太郎と矢田部良吉」2023年5月
・ORICON NEWS「らんまん第6週振り返り」2023年5月15日
・MANTANWEB「らんまん第30回あらすじ」2023年5月12日
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