MENU

『マッサン』第16週「人間到る処青山有り」ネタバレあらすじ感想

目次

『マッサン』第16週のあらすじ(俯瞰)

『マッサン』第16週「人間到る処青山有り」は、第91回から第96回までの6話です。1932年(昭和7年)、政春とエリーはついに北海道・余市へ移り住み、理想のウイスキーづくりへ本格的に踏み出します。二人が頼ったのは、以前に縁を結んだニシン漁の親方・森野熊虎でした。ところが土地や資金の手配を進めるうちに、熊虎が不漁で多額の借金を抱え、息子・一馬との間に深い溝があることが見えてきます。地主や組合長・進からは「熊虎にだまされている」とまで忠告され、政春は余市に骨を埋める覚悟を試されます。第16週は、よそ者の夫婦が開拓の地で信頼を勝ち取り、土地の権利書という形で未来の足場を手にするまでを描く転換の週です。エリーが家族の和解に動いた末、熊虎は政春に権利書を託します。週の最後には「1年後、エリーが書いたラブレターの相手が訪ねてくる」という新たな引きが示されます。

第91回(1月19日・月)政春とエリーが余市に立ち羊蹄山を見上げる

第91回は、舞台が大阪から北海道・余市へ大きく移る記念すべき回です。1932年、政春とエリーはついに余市の地を踏みます。

馬車で進む余市路と高台からの一望

北海道へやって来た政春とエリーは、馬車に揺られて余市へ向かいます。道中、二人の前に羊蹄山が美しくそびえ立ちました。雪を抱いた山容は、北の大地に分け入る二人の門出を祝うかのようでした。余市に着いた政春は、エリーを高台へ連れて登ります。眼下に広がる景色を見渡したエリーは、故郷スコットランドによく似た風土に心を弾ませました。冷涼な気候、澄んだ水、なだらかな丘。そのどれもが、エリーの記憶の中の故郷と重なっていきます。政春にとっても、ウイスキーづくりに適した気候・水・大麦が揃う余市は、長く探し求めた約束の地でした。これまで支えてくれた人たちのためにも、ここで必ず夢を実現させなくてはと、二人は改めて覚悟を固めます。よそ者として乗り込んだ土地で、まだ何の足場もない。それでも目の前に広がる風景が、二人の不安を希望へと塗り替えていきました。

北海道行きを前にしたこひのぼりの送別会

余市到着の前、政春たちが北海道へ旅立つ一週間前の場面も描かれます。馴染みの店・こひのぼりでは送別会が開かれていました。乾杯の挨拶に立った政春は、みなの期待を裏切らないよう、北海道に骨を埋める覚悟で頑張ると語ります。大阪での日々を支えてくれた人々への感謝と、もう後戻りはしないという決意が、その言葉ににじみました。未知の地へ飛び込む覚悟を、見送る人々の前で口にした場面です。週サブタイトル「人間到る処青山有り」が示す「故郷を離れても、大望を遂げる地はどこにでもある」という思いと、この回はまっすぐに重なります。大阪での別れと余市での出会いを一つの回に並べることで、第91回は「旅立ち」と「到着」を対にして描き出しました。

余市での新生活が始まったところで第91回は幕を閉じます。政春らは、かつて出会ったニシン漁の親方・森野熊虎を訪ねることになります。

週タイトルは幕末の僧・釋月性の詩が由来とされ、「じんかん いたるところせいざんあり」と読むそうです。羊蹄山の絶景がその意味と響き合いますね。

第92回(1月20日・火)熊虎が土地と資金の仲介を「朝メシ前」と引き受ける

第92回は、政春とエリーが熊虎にウイスキーづくりの計画を打ち明け、協力を取りつける回です。北海道での第一歩を踏み出すための、肝心の交渉が描かれます。

熊虎への計画の打ち明け

政春とエリーは、熊虎にウイスキーを造るために北海道へやって来たことを話します。本格的なウイスキーは仕込んでから世に出るまで長い年月がかかります。その間、何の収入もないままでは事業は続きません。そこで二人はまず、つなぎとして売り出すりんご汁の計画も併せて説明しました。先に果汁で食いつなぎ、その先に本命のウイスキーを据えるという二段構えの構想です。夢を語る政春の言葉に、熊虎は黙って耳を傾けます。海千山千の網元が、この一風変わった夫婦の挑戦をどう値踏みするのか。よそ者の覚悟が試される、緊張感のある対面の場面でした。

土地・大工・リンゴ農家への仲介依頼

政春は、工場を建てるための土地、大工の手配、そして資金調達、さらに最初に手がけるりんご汁のためのリンゴ農家への仲介を、熊虎に頼みます。よそ者がこれだけの段取りを一から整えるのは容易ではありません。すると熊虎は「朝メシ前だ」と豪快に快諾しました。地元に顔が利き、人望も持つ親方の後ろ盾を得て、政春とエリーはひとまず胸をなで下ろします。これでウイスキーづくりへの道が一気に開けるかに思えた、順調な滑り出しの瞬間でした。風間杜夫が演じる熊虎の豪放磊落な人柄が、この快諾の場面でくっきりと立ち上がります。

しかし、この快諾の裏で、森野家が抱える事情はまだ二人には見えていません。安堵もつかの間、次回から余市の現実が立ちはだかります。

本格ウイスキーは寝かせる年月が長く、その間の資金繰りが課題でした。りんご汁(果汁)の話は、史実のニッカが創業期にリンゴ加工で食いつないだ流れとも重なります。

第93回(1月21日・水)地主に冷たくされ進から「熊虎にだまされている」と忠告される

第93回は、快諾の裏にあった余市の不穏な空気が一気に表面化する回です。熊虎の名前が、なぜか余市では歓迎されないことが見えてきます。

歓迎しない一馬と冷たい地主

政春とエリーは、どこか歓迎していない様子の一馬に不安を覚えます。父・熊虎を頼って来た客人にも打ち解けようとしない一馬の硬い態度は、森野家に何かがあることをにおわせました。翌日、政春らは地主へあいさつに出向きます。土地を借りる話を進めるための、大切な顔つなぎのはずでした。ところが熊虎の名前を出した途端、地主は二人を冷たくあしらいました。頼みの綱だったはずの親方の名が、土地の交渉でむしろ逆風になるという思いがけない展開です。政春は、自分たちが知らない事情が余市に渦巻いていることを、肌で感じ始めます。

組合長・進からの警告

追い打ちをかけるように、熊虎の義理の弟でリンゴ組合長の進が二人の前に現れます。進は、政春とエリーが熊虎にだまされていると忠告しました。身内であるはずの進が口にした警告だけに、その言葉は重く響きます。頼みの綱だった熊虎への信頼が揺らぎ、二人は余市での出発点から早くもつまずきます。誰を信じればよいのか分からないまま、政春は熊虎を取り巻く人間関係の根深さに直面することになりました。歓迎されない一馬、冷たい地主、忠告する進。森野家と余市の人々の間に横たわる溝が、第93回で次々と姿を見せていきます。

熊虎の借金、家族の不和、地元の不信。第93回で示された影は、次回さらに具体的な形を取って政春に突きつけられます。

第94回(1月22日・木)進が開拓民の歴史を語り政春に覚悟を問う

第94回は、森野家の借金の真相と、余市の地に生きる人々の歴史が明かされる回です。政春が問われたのは、技術や資金ではなく覚悟でした。

ハナが語る不漁と借金

政春とエリーは、熊虎の娘・ハナから事情を聞きます。ニシンの不漁が原因で、熊虎が多額の借金を背負ったというのです。かつてニシン漁で一山当てた網元が、今は厳しい台所事情を抱えていました。ハナの話から、森野家のきしみが借金と無縁ではないことが見えてきます。借金以外にも根深い問題があると、政春は肌で感じ取りました。

再訪した進が語る開拓の歴史

政春は、借金以外にも根深い問題があると感じ、改めて進を訪ねます。進は、この地に入植してきた開拓民たちの歴史を語りました。何もない原野に鍬を入れ、厳しい寒さと不漁に耐えながら土地を切り開いてきた人々の歩み。その積み重ねの上に、今の余市があるのだと進は示します。そのうえで、進は政春に問いかけました。「この大地でやっていく覚悟があるのか」と。ウイスキーという夢を抱いてやって来たよそ者が、本気でこの地に根を張り、開拓者たちと同じ重みを背負えるのか。第94回は、技術論や事業計画の手前にある、生き方そのものへの問いを政春に突きつける回でした。安易に受け入れない進の姿勢は、開拓地ならではの厳しさの象徴でもあります。

進を演じるのは螢雪次朗さん。よそ者を簡単には受け入れない開拓地の厳しさを、忠告と歴史語りの両面から背負う重要な役どころです。

第95回(1月23日・金)権利書をめぐり熊虎と武井・進が対立する

第95回は、政春が一度は余市を去ろうとし、エリーがそれを押しとどめる回です。土地の権利書をめぐる森野家の争いが、ついに目の前で噴き出します。

政春の「家を出よう」とエリーの決意

余市の不信の渦に巻き込まれた政春は、裏切り者の仲間だと思われる前に熊虎の家を出ようと提案します。これ以上、森野家のもめ事に深入りすれば、自分たちの夢まで巻き添えになりかねないという判断でした。しかしエリーは、熊虎の家族を仲直りさせたいという意思を示します。逃げるのではなく、踏みとどまって家族の絆を結び直す道を、エリーは選ぼうとしました。夫婦の判断が分かれるこの場面は、第16週の感情の山場です。

権利書をめぐる対立

その時、武井と進が熊虎の家に現れます。土地の権利書を巡って、熊虎と彼らが正面から対立する展開になりました。借金を背負った熊虎、その権利書を手放させようとする周囲、そして父を恨む一馬。森野家の問題が、権利書という一枚の書面に集約されてぶつかり合います。政春とエリーは、よそ者でありながらこの渦中に立ち会うことになりました。

金曜の引きとして、権利書の行方と森野家の和解が宙づりのまま残されます。週末の第96回で、この対立がどう決着するのかが焦点となりました。

「逃げよう」とする政春を、エリーが「家族を仲直りさせたい」と押しとどめる構図。外国人妻のエリーが日本の家族の絆に踏み込む展開は、本作らしい見どころと言えそうです。

第96回(1月24日・土)熊虎が権利書を政春に託し余市をウイスキーの里にすると誓う

第96回は、第16週の締めくくりであり、次章への大きな扉が開く回です。森野家の絆が取り戻され、政春が未来の足場を手にします。

家族の絆と権利書の継承

家族の絆を取り戻した熊虎は、土地の権利書を政春に託します。不漁と借金、息子・一馬との確執に揺れた熊虎が、最後に選んだのは、よそ者である政春に未来を賭けることでした。政春は熊虎の思いとともに、その権利書を受け取ります。一枚の書面に込められたのは、余市の網元が積み上げてきた歳月と、新参者への信頼でした。週を通して試されてきた政春の覚悟が、ここで報われた瞬間です。

余市をウイスキーの里にする誓い

政春は、もう一度この家に多くの人々が集うこと、そして余市を「ウイスキーの里」と呼ばれる場所にすることを誓います。週の初めには冷たくあしらわれ、だまされていると忠告までされた政春が、土地と人の信頼を勝ち取り、ここを夢の拠点にすると宣言する場面です。試練を経たからこそ、この誓いには重みが宿りました。そして物語は時を飛び、「1年後、エリーがラブレターを書いた相手がやって来る」という思わせぶりな引きで第16週を閉じます。エリーが誰に、何のためにラブレターを書いたのか。その相手がはるばる余市を訪ねてくるという予告は、次週以降への期待を大きくかき立てる仕掛けになっていました。

『マッサン』第16週のネタバレまとめ

第16週「人間到る処青山有り」(第91〜96回)の要点を振り返ります。1932年、政春とエリーは余市へ移り、羊蹄山を望む高台で夢への決意を新たにしました。頼った網元・熊虎は土地や資金、リンゴ農家への仲介を「朝メシ前だ」と快諾します。ところが地主の冷淡な態度や組合長・進の「だまされている」という警告から、熊虎が不漁で多額の借金を抱え、息子・一馬とも深く不和であることが判明していきます。進の「この大地でやっていく覚悟があるのか」という問いに政春は正面から向き合い、逃げようとする政春に対してエリーは森野家の和解へと動きました。武井や進を交えた権利書をめぐる対立を経て家族の絆が戻り、熊虎は土地の権利書を政春に託します。政春はその思いを受け止め、余市を「ウイスキーの里」にすると誓いました。週末には時が1年進み、「エリーがラブレターを書いた相手が訪ねてくる」という新たな引きが示され、次章への期待を残して幕を閉じます。

『マッサン』第16週──物語の読みどころ

第16週は、ウイスキーづくりの「技術」より「人と土地」を描いた週として読めます。余市が好適地だという事実は第91回で早々に示され、物語の関心はむしろ、よそ者の夫婦がこの地でどう信頼を得るかに移ります。頼みの綱の熊虎がいきなり「だまされている」と言われる脚本構成は、安易な成功譚を避け、覚悟を試す試練を先に置く狙いがあったのかもしれません。史実でも竹鶴政孝は冷涼でスコットランドに似た余市にこだわり、ウイスキーが熟成するまでの間、リンゴ加工で創業期をしのいだとされます。第16週がりんご汁の計画を交渉の冒頭に据えたのは、その史実への目配せじゃないかなと感じます。逃げようとする政春を、外国人妻のエリーが「家族を仲直りさせたい」と押しとどめる構図も見逃せません。当事者でないエリーが他人の家族の絆に踏み込むこの展開は、本作が一貫して描いてきた「絆」のテーマを、大阪編から北海道編へと持ち越して更新したものと言えそうです。週タイトル「人間到る処青山有り」は、故郷を離れてもなお大望を遂げる地はあるという励ましの言葉。試練の末に権利書を託される結末は、まさにその言葉を体現する締めくくりになっていました。

余市編から風間杜夫さん・小池栄子さん・堀井新太さんら新キャストが合流。荒くれの網元一家を軸にした「もう一つの家族」の物語が、ここから本格的に動き出します。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次