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『マッサン』第15週「会うは別れの始め」ネタバレあらすじ感想

目次

『マッサン』第15週のあらすじ(俯瞰)

第15週「会うは別れの始め」は、政春が鴨居商店の工場長へ復帰しながら、自分の理想とのあいだで揺れる週です。広島で母・早苗を見送った政春とエリーは大阪へ戻り、政春は「日本人が飲みやすいウイスキーを作る」と理想をいったん封印します。けれど熊虎から届いたりんごが余市の記憶を呼び覚まし、ピートを炊かない麦芽づくりに踏み込んだ政春は、工員たちの不安をよそに「ジャパニーズ・ウイスキーを作る」と口にします。飲みやすいブレンドを完成させても表情は虚ろで、案じるエリーに「口を出すな」と声を荒らげる場面も。やがて政春は鴨居商店を辞めて北海道へ渡る決意を固め、欣次郎との別れへと進みます。本作はニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝と妻リタをモデルにしつつ、亀山政春とエリーという独自夫婦として描かれており、この週は理想と現実の岐路が前面に出る転換点です。

第85回(1月12日・月)政春が母・早苗の本心を知り大阪へ戻る

第85回は、広島での別れを経て政春が酒づくりへの覚悟を新たにする回です。母を見送った余韻のなかで、家族のひとことが政春の背中を押します。

父・政志が語る「酒は生き物」

義父にあたる政志は、酒造りに向き合う政春へ静かに助言します。「酒は生き物じゃけえ、作った者の心がうつる」と語り、焦らず向き合うよう励ましました。母・早苗が人目を忍んでウイスキーを口にしていたこと、心の奥では誰よりも政春を応援していたことも明かされます。母の本心を知った政春は、ウイスキーづくりへの決意を一段と固めました。言葉少なな政志の励ましが、別れの悲しみを前へ進む力に変えていきます。

エリーと家族のあたたかな別れ

帰り支度を進めるエリーに、すみれは早苗がエリーの料理をひそかに褒めていたと伝えます。自分が家族に受け入れられていたと知り、エリーは胸を熱くしました。千加子が紹介した息子・岡崎悟が、かつてエリーが出産を手伝った子だったという縁も描かれます。政春を訪ねた俊夫は、ウイスキーづくりには誘わないでほしいと頼みつつ、広島で身を固めると宣言しました。亀山家の面々に見送られ、政春とエリーは大阪へと旅立ちます。母を失った悲しみと、新たな一歩への静かな高揚が同居する、第15週の入り口にふさわしい回でした。

第86回(1月13日・火)政春が「飲みやすいウイスキー」を作ると宣言する

第86回は、大阪へ戻った政春が鴨居商店の工場長として再出発する回です。理想をいったん脇に置く政春の宣言に、エリーは小さな胸騒ぎを覚えます。

工員を招いた我が家でのパーティー

工場長として復帰した政春は、ともに働く工員たちを自宅に招き、にぎやかなパーティーを開きました。英一郎をはじめ蒸溜棟の仲間たちは、政春の復帰を心から歓迎します。場の中心で政春は、自分が目指してきた理想のウイスキーはいったん封印し、「日本人が飲みやすいウイスキーをつくる」とはっきり宣言しました。北海道での営業経験を経て、まずは売れる酒で土台を作るという現実的な選択でした。前向きな言葉に工員たちは沸き立ちます。

エリーが感じた小さな胸騒ぎ

仲間に囲まれて笑う政春を見て、エリーはうれしさを覚えながらも、なぜか胸の奥がざわつくのを感じます。理想を封じてまで現実に合わせようとする夫の姿に、エリーは言葉にできない不安をにじませました。第14週「渡る世間に鬼はない」で販売の難しさを痛感した政春が、ここで現実路線へ舵を切る流れは自然な帰結に見えます。けれど理想家の政春が長く我慢を続けられるのか——その問いが、この回から週の通奏低音として静かに響き始めます。

「飲みやすいウイスキー」という言葉、政春が一番苦手とする妥協だったかもしれませんね。エリーの胸騒ぎが当たりそうな空気です。

第87回(1月14日・水)政春が「ジャパニーズ・ウイスキーを作る」と言い出す

第87回は、封印したはずの理想が政春の中で再び頭をもたげる回です。熊虎から届いた一箱のりんごが、余市の記憶を呼び覚まします。

熊虎のりんごが呼び起こす余市

北海道の熊虎から、りんごが政春のもとへ届きます。手にしたりんごから、政春はウイスキーづくりに理想的な土地だと感じた余市の風景を思い出しました。その表情の変化を見て、エリーの不安はさらに膨らみます。飲みやすさを優先するはずだった政春は、鴨居の求めるスモーキーフレーバーを抑えたブレンドに違和感を募らせていきました。英一郎もその方向性に異を唱えます。理想と現実のせめぎ合いが、いよいよ表面化していきました。

ピートを炊かない麦芽への踏み込み

政春は、ピートを炊かない麦芽で原酒を作ると言い出します。これまでの自分のやり方を大きく転換する判断に、工員たちまで不安を覚えました。そして政春は「わしのウイスキーとは違うわ。ジャパニーズ・ウイスキーを作るんじゃ」と踏み込んだ言葉を口にします。日本人の口に合う、新しいウイスキーを生み出そうという宣言でした。封印したはずの理想が、形を変えて再び動き出します。この回はウイスキーづくりそのものを前面に押し出した作りで、ナレーションで丁寧に補強されたとも指摘されています。

「ジャパニーズ・ウイスキー」という言葉、いまでは世界的なブランドですよね。政春のこのこだわりが後の道を決めていく気がします。

第88回(1月15日・木)政春がエリーに「口を出すな」と声を荒らげる

第88回は、理想と現実の板挟みで政春の心が限界に近づく回です。完成した酒を前にしても、政春の表情は晴れません。

虚ろな表情で迎えたブレンド完成

政春は、飲みやすさを狙ったブレンドをついに完成させます。ところが、その顔つきはどこか虚ろでした。鴨居商店の方針に沿って作り上げた一本に、政春は本来の手応えを感じられずにいたのです。理想を封じた酒づくりが、政春の心をじわじわとすり減らしていました。仲間に祝福されても、政春の心はここにあらず——という状態が続きます。

エリーへの「何が分かる、口を出すな」

夫の様子を案じたエリーは、「本当の気持ちを教えてほしい」と正面から訴えます。すると政春は思わず「何が分かる、口を出すな」と声を荒らげてしまいました。いつも互いを支え合ってきた二人だけに、この一言の重さは大きく、エリーの表情も曇ります。その後、新商品が発売され、政春は工場見学に精力的に取り組みました。理想を抑え込みながら現実の仕事に没頭する姿は痛々しく、夫婦のあいだに生まれた小さな亀裂が、週後半の決断を引き寄せていきます。

第89回(1月16日・金)政春が鴨居商店を辞めて独立する決意を固める

第89回は、政春がついに自分の道を選び取る回です。理想を諦めきれない政春は、独立という大きな決断に踏み出します。

自分の工場を作るという決断

政春は、鴨居商店を辞め、自分の工場を作る決意を固めます。飲みやすさを優先する商店の方針のなかでは、自分の理想とするウイスキーは生み出せない——その思いが政春を後押ししました。エリーもまた、夫の理想を実現させるため、自分たちの工場を持とうと提案します。りんごジュースづくりで収益を得て、その利益をウイスキーづくりに回すという現実的な計画も語られました。理想を追う情熱と、それを支える地に足のついた発想が組み合わさっていきます。

野々村への出資依頼と高い壁

政春はエリーとともに大家の野々村を訪ね、北海道でウイスキーを作りたいと打ち明けます。しかし投資する側の現実は厳しく、「出荷までの数年間の経営計画がなければ投資はできない」と一度は拒まれました。ウイスキーは仕込んでから出荷まで長い年月を要するため、その間の資金繰りをどう描くかが問われたのです。夢だけでは人を動かせないという壁を前に、政春とエリーは資金調達という新たな難題に直面します。次回、政春は最大の理解者であり最大の壁でもある鴨居欣次郎と向き合うことになります。

りんごジュースで資金を作るという発想、モデルの竹鶴夫妻が余市でりんご加工から始めた史実とも重なる流れですね。

第90回(1月17日・土)政春が鴨居から退職金の小切手を受け取る

第90回は、政春と鴨居欣次郎の別れが描かれる、週のクライマックスです。理想を貫く弟子と、それを見守る師の対峙が胸を打ちます。

「お前は経営者にはなれん」鴨居の言葉

政春とエリーは鴨居のもとを訪れ、会社を辞めて北海道へ行くことを告げます。鴨居は、自分の信じるウイスキーを作るためには離れるべきだという政春の答えに、深く感じ入りました。それでも経営者としての政春には厳しく、「無理や、お前は経営者にはなれん。無理やり社長になったら皆が不幸になる」と突き放すように言い放ちます。さらに「土下座してでも資金をかき集めてみろ」と迫り、甘い独立を許しませんでした。突き放しながらも、その言葉には政春の覚悟を試す師の情がにじみます。

退職金代わりに手渡された10万円

工場建設に必要な資金は50万円。出資者・渡芳利が40万円を出すとしても、残る10万円は自力で調達せねばならない状況でした。資金の壁に苦しむ政春に、鴨居は退職金として10万円の小切手を手渡します。経営者にはなれんと言い切りながら、最後は黙って夢の後押しをする——欣次郎という人物の不器用なやさしさが凝縮された場面でした。こうして政春は北海道への一歩を踏み出します。週タイトル「会うは別れの始め」のとおり、鴨居との出会いがひとつの別れとして結実した週でした。

堤真一さん演じる鴨居の「経営者にはなれん」と小切手のギャップ、屈指の名場面と語り継がれていますね。

『マッサン』第15週のネタバレまとめ

第15週「会うは別れの始め」は、政春が母・早苗を見送って大阪へ戻り、鴨居商店の工場長として再出発するところから始まります。「飲みやすいウイスキーを作る」と理想を封印したものの、熊虎のりんごが余市の記憶を呼び覚まし、政春は「ジャパニーズ・ウイスキーを作る」と再び理想へ傾きます。完成したブレンドに手応えを得られず、案じるエリーに「口を出すな」と声を荒らげた政春は、ついに鴨居商店を辞めて北海道で独立する決意を固めました。野々村に出資を断られ資金の壁にぶつかるなか、別れを告げた政春に鴨居は「お前は経営者にはなれん」と突き放しつつ、退職金として10万円の小切手を手渡します。理想を選んだ政春の、新天地への第一歩が刻まれた週です。

『マッサン』第15週──物語の読みどころ

この週の核心は、「妥協」と「理想」のあいだで揺れる政春の心の振り子だと感じます。第86回で飲みやすさへ舵を切った政春が、第87回でりんごひとつから理想へ引き戻される展開は、人が本当に大切にするものは封印しても消えない、というテーマを静かに示しているのかもしれません。脚本は政春の独立を、勢いではなく資金の壁という現実とセットで描き、夢を追う代償まで見せている点が誠実です。なかでも鴨居の「経営者にはなれん」と小切手の落差は、突き放しと後押しを同時に成立させる名場面として語り草になりました。モデルの竹鶴政孝が余市でりんご加工から事業を始めた史実とも響き合い、別れが次の出会いの起点になる週だと読めます。

突き放す言葉ほど深い愛情だった、という鴨居の描き方。別れの週なのに、次の物語が始まる予感に満ちていますね。
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