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『マッサン』第14週「渡る世間に鬼はない」ネタバレあらすじ感想

目次

『マッサン』第14週のあらすじ(俯瞰)

第14週「渡る世間に鬼はない」は、政春が営業職への異動を逆手に取り、ウイスキーの理想郷を求めて北海道へ旅立つ週です。スモーキーフレーバーをめぐって鴨井と衝突した政春は、北海道行きを願い出て小樽へ向かい、そこで森野熊虎という豪快な男と出会います。一方、亀山家には早苗危篤の電報が届き、エリーは政春を待たずに広島・竹原へ急ぎます。年が明けて最初の週、ずっと外国人の嫁を拒んできた早苗が、花嫁衣装で三つ指をつくエリーをついに認め、世を去ります。政春の独立とウイスキーづくりの夢が大きく動き出す一方、家族の別れが重なる転機の週です。北の大地で希望をつかむ政春と、広島で義母を看取るエリー。離れた場所で進む二つの物語が、やがて早苗の臨終という一点で結び合わさります。本作のテーマである「言葉と文化の壁を越える家族の絆」が、最も濃く描かれる週といえます。なお本作で「鴨居」は「鴨井」と表記される回が混在しますが、本記事では一般的な「鴨井」で統一して進めます。

第79回(1月5日・月)営業に飛ばされた政春が北海道行きを願い出る

第14週の幕開けは、ウイスキーづくりの現場を追われた政春が、思わぬ形で次の一歩を踏み出す回です。失意から始まり、希望へと反転する起点になります。

スモーキーフレーバーをめぐる鴨井との衝突

政春は、本場スコットランド仕込みのスモーキーなウイスキーにこだわり続けてきました。ピートを焚いて麦芽を乾燥させる、あの独特の煙の香りこそが本物だと信じてきたのです。しかし、日本人の口に合うまろやかな味を求める鴨井欣次郎とは、その方向性をめぐって考えが真っ向からぶつかります。理想を曲げない政春と、商いとして売れる味を見据える鴨井。どちらの言い分にも筋が通っているからこそ、対立は根深いものになりました。

その結果、政春は製造現場を外され、営業職への異動を命じられてしまいます。職人として生きてきた政春にとって、ものづくりの場を失うのは何より大きな痛手でした。自分が手がけたウイスキーが日の目を見ないまま、現場から遠ざけられる――その悔しさが、政春の表情ににじみます。

深く落ち込む政春でしたが、ここで物語が静かに動き始めます。気持ちを切り替えるきっかけとなったのが、身近な人物の何気ない一言でした。営業という畑違いの仕事を、ただの左遷で終わらせるのではなく、逆にチャンスとして捉え直す視点が、政春の中に芽生えていきます。

北海道なら受け入れられるという確信

気持ちを立て直した政春は、鴨井に北海道への出張を願い出ます。その説得の論拠は明確でした。北海道の気候や食文化はスコットランドによく似ており、ビールの一大消費地でもある。だからこそ、本場仕込みの香り高いウイスキーが受け入れられる土地に違いない、と政春は熱く訴えました。職人としての知見を、営業の言葉に翻訳して語る政春の姿が印象的に描かれます。

製造を外された悔しさを、未開の市場を切り開く情熱へと変えていく――その転換が、この回の核心です。鴨井もまた、政春の引かない覚悟を見て北海道行きを許します。許しを得た政春は、北海道・小樽を目指して旅立ちました。失意の異動を、夢の再起動へと変えていく前向きな展開です。同じころ、亀山家には別の不穏な知らせが届き、もう一つの物語が静かに動き始めます。

営業左遷を北海道行きの口実に変える発想転換が、後の余市につながる伏線だったようですね。

第80回(1月6日・火)早苗危篤の電報が亀山家に届く

政春が北海道へ向かう一方で、亀山家には年初早々に重い知らせが舞い込みます。喜びと不安が同時に走り出す回です。

「母危篤」の報せ

広島・竹原の実家から、早苗が危篤だという電報が届きます。これまで早苗は、政春が連れ帰った外国人の嫁エリーを頑として認めず、亀山家とは長く距離が生まれていました。結婚そのものに反対し、エリーを家族として受け入れることを拒んできた早苗。その確執を抱えたままの危篤の報せは、エリーの胸を強く揺さぶります。和解できないまま義母を失うかもしれない――その不安が、エリーを突き動かしました。

泉ピン子さんが演じる早苗は、竹原の造り酒屋の女将として、酒づくりへの誇りと頑固さを体現してきた人物です。古い価値観を背負いながらも、その奥に家族への深い情を秘めている――そんな複雑な人物像が、これまでの回で丁寧に積み重ねられてきました。その早苗が病に倒れたという報せは、亀山家の物語が大きな節目を迎えることを示しています。

政春を待たずに広島へ向かうエリー

エリーは、北海道にいる政春の帰りを待たず、自らの判断で広島・竹原へ向かう決意を固めます。夫の到着を待っていては間に合わないかもしれない。その一心で、エリーは一人、義母のもとへ急ぎます。どれだけ拒まれても、エリーにとって早苗は大切な家族でした。言葉や文化の壁を越えて義母のもとへ駆けつけようとするエリーの姿が、この週の感情の軸になっていきます。

一方、夫の政春はまだ北海道におり、母の急変をまだ知りません。北の大地で夢の地を探す政春と、広島で義母を看取ろうとするエリー。すれ違う家族の動線が、次の回への緊張感を静かに高めていきます。

第81回(1月7日・水)政春が森野熊虎と出会い余市にたどり着く

北海道での営業の旅が、政春の運命を決める出会いをもたらす回です。後のウイスキーづくりの舞台が、ここで姿を現します。

小樽で出会う豪快な男・森野熊虎

営業として北海道・小樽を訪れた政春は、ニシン漁で財を成した森野熊虎という男に出会います。風間杜夫さんが演じる熊虎は、豪放磊落で人情に厚い、北の大地そのもののような人物です。声が大きく、押しも強く、一筋縄ではいかない相手。最初こそぶつかり合いながらも、政春の真っすぐな人柄と、ウイスキーにかける一途な情熱が、次第に熊虎の心を動かしていきます。

この出会いは、単なる営業先との縁にとどまりません。熊虎やその家族との関わりは、後に政春が北海道で独立し、ウイスキーづくりを始める道を開く、決定的な縁となっていきます。妻のハナ(小池栄子さん)や息子の一馬(堀井新太さん)といった森野家の面々も、政春の北海道での暮らしを支える重要な存在として、これから物語に深く関わっていきます。

理想の地・余市との出会い

政春は北海道の各地を巡るなかで、余市という土地にたどり着きます。澄んだ川と泥炭地帯に恵まれたこの地は、湿潤で冷涼な気候もあいまって、スコットランドの環境をそのまま思わせる、ウイスキーづくりの理想郷でした。本場の味を追い求めてきた政春にとって、余市との出会いは、長年の夢がついに現実に近づく瞬間だったといえます。ここでなら、自分が信じてきた本物のウイスキーがつくれる――政春の胸に、確かな手応えが宿ります。

しかし、夢の地を見つけた政春の高揚とは裏腹に、広島では母・早苗の容態が刻一刻と変化していました。北で希望をつかむ息子と、南で命の灯が消えようとしている母。喜びと哀しみが同じ時間軸で交差する構成が、この回をいっそう際立たせています。

余市はモデルの竹鶴政孝が実際に蒸溜所を建てた地で、ドラマと史実が重なる名場面なのだそうです。

第82回(1月8日・木)容態が一時持ち直すも吐血する早苗

余命わずかと告げられた早苗と、その枕元に集う亀山家の人々が描かれる回です。別れが現実味を帯びていきます。

一時の小康と、突然の吐血

竹原に駆けつけたエリーや家族が見守るなか、早苗の容態は一時的に持ち直します。一度は危篤と告げられた早苗が、再び言葉を交わせるまでに回復し、わずかな希望が灯ったかに見えました。家族の表情にも、安堵の色がにじみます。しかしその矢先、早苗は突然吐血し、余命がわずかであることが家族に告げられます。希望と絶望が短い間に入れ替わる、張り詰めた展開です。

父・政志を演じる前田吟さんや、姉・千加子を演じる西田尚美さんら、亀山家の面々が早苗を看取ろうと枕元に集まります。長く頑固さを通し、亀山家の柱であり続けてきた早苗の最期が、静かに、しかし確実に近づいていきます。一家にとって、覚悟を決めなければならない時が訪れていました。

政春不在のなかで支えるエリー

政春はまだ北海道におり、母の危篤に間に合うかどうかは分かりません。その不在を埋めるように、エリーが早苗のそばで懸命に尽くします。これまで散々拒まれ続けてきた義母のために、慣れない看病に身を尽くし、言葉を尽くすエリーの姿が描かれます。恨み言ひとつ口にせず、ただ義母の回復を願うエリーの献身が、亀山家の人々の胸にも届いていきます。

長年の確執が、限られた最期の時間のなかで少しずつほどけていきます。頑なだった早苗の心が、エリーの真心によって溶かされ始める――次の回で訪れる和解の場面への、大切な助走となる一日です。

第83回(1月9日・金)花嫁衣装のエリーを早苗が「世界一のええ嫁」と認める

第14週の感情の頂点となる、早苗とエリーの和解の回です。長い確執が、ひとつの所作によって溶けていきます。

花嫁衣装で三つ指をつくエリー

エリーは花嫁衣装を身にまとい、早苗の枕元で三つ指をつきます。両手の指をそろえ、深く頭を下げる――日本の伝統的な作法である三つ指は、義母へ嫁としての礼を尽くす、エリーなりの精いっぱいの心の表し方でした。結婚を認めてもらえないまま時を重ねてきたエリーが、改めて花嫁として早苗の前に座り直す。その姿には、いま一度きちんと嫁として迎え入れてほしいという、切実な願いがこめられていました。外国人であるエリーが日本の所作で義母に向き合う姿は、この週でもっとも語り草になった場面のひとつです。

早苗は、自分が女であるがゆえに、望んでも酒づくりに携われなかった来し方を語ります。造り酒屋の家に生まれながら、女だからと蔵に立つことを許されなかった悔い。その思いを長く胸に抱えてきたからこそ、男の夢を陰で支えようとするエリーの覚悟が、早苗の心に深く届いたのかもしれません。立場こそ違え、二人の女は同じ痛みを分かち合っていたともいえます。

「あんたは日本一の、世界一のええ嫁じゃ」

早苗はついにエリーを認め、こう言葉を残します。「ええ嫁じゃ。あのバカタレの夢を支えられるんは、あんたしかおらん。あんたは日本一の、世界一のええ嫁じゃ」。「あのバカタレ」とは、もちろん息子の政春のことです。憎まれ口のような呼び方の奥に、息子と、その妻への深い愛情がにじみます。外国人の嫁を頑として拒んできた早苗が、最期にエリーを家族として受け入れた、忘れがたい瞬間でした。

このセリフは、政春とエリーの結婚が亀山家にようやく認められたことを意味します。第1週から長く積み重ねられてきた確執が、別れの間際に和解へと至る構成は、本作の大きな山場のひとつです。頑固な義母と異国の嫁という、最も埋まりにくい溝が埋まる瞬間が、視聴者の胸を打ったようです。次回、政春の到着とともに、いよいよ別れの時が訪れます。

頑固な義母が最期に嫁を認める和解の型は、朝ドラの王道のひとつですが、三つ指という所作で見せた点が新鮮だったようです。

第84回(1月10日・土)「センキュー、グッドバイ」と早苗が旅立つ

第14週の結びは、政春の帰着と早苗の臨終が重なる、別れの回です。母が遺した最後の言葉が胸に残ります。

政春の帰着と母との最後の時間

北海道で母の病を知った政春は、取るものも取りあえず広島・竹原へ急ぎます。余市という夢の地を見つけたばかりの高揚を抱えたまま、母の最期に立ち会うため駆けつける構図です。希望と悲しみが胸の中で同居する、複雑な心境だったはずです。ようやくたどり着いた政春を、早苗は静かに迎えます。長く心配をかけ続けてきた息子と、その妻エリーを前にして、早苗の表情はやわらいでいたといえます。

かつて外国人の嫁を連れ帰った政春に激しく反対し、結婚を許そうとしなかった早苗が、最期にはその選択をまるごと受け入れていました。意地を張り続けた歳月の果てに訪れた、静かな受容です。母と息子、そして嫁の三者が、わだかまりの解けた和解のなかで、最後の時間を分かち合います。

「センキュー…グッドバイ…」

早苗は、エリーへ向けて「センキュー…グッドバイ…グッドバ…」と言葉を残し、旅立っていきます。竹原の言葉しか話さず、外国人の嫁を長く拒んできた頑固な女将が、最期に外国語でエリーへ感謝と別れを告げる――その鮮やかな逆転が、和解の深さを何より雄弁に物語る場面でした。たどたどしくも、確かにエリーへ向けられたその一言に、言葉や文化の壁を越えた家族の絆が凝縮されています。

母を見送った政春は、深い悲しみを抱えながらも、母が最期に認めてくれた夢――北海道・余市でのウイスキーづくりへと歩み出すことになります。早苗の死は、政春にとって新たな出発を後押しする、大きな区切りでもありました。別れと旅立ちが重なり合い、物語は余市編という次の章へと大きく進んでいきます。

『マッサン』第14週のネタバレまとめ

第14週「渡る世間に鬼はない」は、スモーキーフレーバーをめぐる鴨井との対立から営業へ異動した政春が、北海道行きを願い出て小樽へ旅立つところから始まります。政春は森野熊虎と出会い、スコットランドに似た理想の地・余市にたどり着きました。同じころ亀山家には早苗危篤の電報が届き、エリーは政春を待たず広島・竹原へ向かいます。早苗の容態は一時持ち直すも吐血し、余命わずかに。エリーが花嫁衣装で三つ指をつくと、早苗はついに「日本一の、世界一のええ嫁じゃ」とエリーを認めました。駆けつけた政春に見守られ、早苗は「センキュー、グッドバイ」と言い残して旅立ちます。政春の独立への一歩と、亀山家の別れが重なる転機の週でした。

『マッサン』第14週──物語の読みどころ

第14週の読みどころは、「営業左遷」という挫折を「北海道で余市と出会う」転機へ反転させた脚本の運びにあります。政春のモデルとされる竹鶴政孝は、実際に北海道・余市にウイスキー蒸溜所を建てており、ドラマの余市行きは史実と重なる重要な分岐点です。そこに早苗の死を同じ週で交差させたことで、夢の始まりと家族の別れが一つの感情として立ち上がります。とりわけ、頑固な早苗が外国人の嫁を最期に認める和解を、花嫁衣装と三つ指という日本の所作で見せ、別れの言葉だけを英語にした逆転構成が巧みです。言葉と文化の壁を越える本作のテーマが、最も濃く表れた週だったといえるのかもしれません。

夢の出発と家族の別れを同じ週に重ねる構成は、視聴者の心に強く残ったようです。第14週の平均視聴率は21%台と高い水準だったと報じられています。
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