『マッサン』週別あらすじ・ネタバレ
『マッサン』第12週のあらすじ(俯瞰)
『マッサン』第12週「冬来たりなば春遠からじ」は、第67回から第72回までの6話で描かれます。倒れたエリーが医師から子どもを産むことの難しい体だと告げられ、政春はその事実を前に立ち尽くします。退院して帰宅したエリーに真実を打ち明けるか否か、政春は深く迷い続けます。鴨居欣次郎の妻キャサリンは、英一郎から事情を聞き、政春に「愛があれば乗り越えられる」と背中を押します。やがて真実を知ったエリーは号泣しますが、政春は「子どもの分まで生きよう」と抱きしめます。鴨居は政春を山崎工場へ戻すことでエリーの立ち直りを促し、その思いやりに気づいたエリーは、鴨居と息子・英一郎の和解を取り持ちます。週の終わり、キャサリンから身寄りのない赤ん坊を引き取らないかという養子の話が政春たちのもとへ届きます。本作前半の折り返しにあたる、夫婦と親子の愛をめぐる一週間です。政春の本業であるウイスキー造りの現場、山崎工場も、政春が看病で不在となるなかで試験につまずき混乱します。家庭の試練と仕事の停滞が同時に押し寄せる構成が、この週の緊張感を支えています。
第67回(12月15日・月)医師がエリーの体の真実を政春に告げる
2014年12月15日放送の第67回は、第12週の幕開けとなり、政春が受け止めきれない宣告を聞く回です。倒れたエリーの容体をめぐり、住吉酒造時代からの夢を追う政春の歩みが、思いがけない現実に揺さぶられます。これまでウイスキー造りという外の戦いを描いてきた物語が、夫婦の内面へと深く分け入っていきます。
子を産めない体という宣告
医師は政春に、エリーが出産の難しい体であることを伝えます。広島の造り酒屋に生まれ、スコットランドでウイスキー造りを学んできた政春にとって、技術や事業の壁とはまったく異なる種類の試練です。政春はその場でぼうぜんとし、言葉を失います。何かを成し遂げる力で進んできた人物が、どうにもならない事実の前で立ち尽くす姿が、この回の核心です。亀山政春のモデルとされるのは、後にニッカウヰスキーを創業する竹鶴政孝です。スコットランドで学び、現地でリタ夫人と結婚して帰国した経歴は、政春とエリーの歩みに重なります。子をめぐる夫婦の物語にも、その実人生が静かに影を落としているように見えます。
うわ言で謝るエリーと英一郎の苦悩
病床のエリーは眠りながら、うわ言で政春に「ごめんなさい」と謝り続けます。子を授かれない自分を責める気持ちが、意識のない眠りのなかにまでにじみ出ています。その姿を見た鴨居英一郎も、やり切れない思いを抱えます。見舞いに訪れたキャサリンは、政春と英一郎の沈んだ態度を不審に思い、何かを察し始めます。この回は、当事者の政春だけでなく、周囲の人物それぞれが重い秘密を抱え込む構図を立ち上げます。誰がこの秘密を口にするのか、エリー自身はいつ知ることになるのか。次回以降、その一点が物語を動かしていきます。
第68回(12月16日・火)エリーが帰宅し政春は秘密を抱える
第68回は、エリーが日常へ戻る一方で、政春の隠しごとが綻び始める回です。家の中の静かな再会と、政春が留守にした山崎工場の混乱が、対照的に進みます。
「体のことは黙っておこう」という政春の決意
エリーが約一週間ぶりに帰宅します。政春は英一郎に「エリーには体のことは黙っておこう」と持ちかけます。妻を傷つけたくない一心の判断ですが、それは秘密を二人で抱え込むことを意味します。ところが英一郎は、すでにその話をキャサリンに伝えていました。政春の思惑とは別のところで、真実は静かに広がり始めています。秘密を守ろうとすればするほど綻びが生まれるという皮肉が、この回の運びを引き締めています。帰宅したエリーの何も知らない笑顔と、それを見つめる政春の胸の内のずれが、画面に静かな緊張を生みます。
政春不在で混乱する山崎工場
政春が看病で工場を離れている間、山崎工場は大きな混乱に見舞われていました。ウイスキー造りの現場は政春の判断を必要としており、家庭の事情と仕事の責任が同時に政春へのしかかります。鴨居欣次郎のモデルは、サントリーの創業者・鳥井信治郎とされ、山崎は日本初の本格ウイスキー蒸溜所が築かれた地として知られます。政春が現場を離れることが、その大きな事業の進行を直に揺らす設定になっています。そこへキャサリンが現れ、政春に「話がある」と告げます。家庭と工場、二つの場所で問題が重なり、次回への緊張が高まります。第68回は、エリーの帰宅という穏やかな出来事の裏で、秘密と混乱が同時進行する、対比の効いた回になっています。
第69回(12月17日・水)キャサリンが「愛があれば乗り越えられる」と説く
2014年12月17日放送の第69回は、苦悩を吐き出す政春に、キャサリンが言葉を届ける回です。鴨居家の妻であり、自らも歩んできた道を持つキャサリンの一言が、政春の迷いに分け入ります。週の中盤にあたり、ここから物語は打ち明けへと大きく舵を切ります。
「自分には何もできない」という政春の吐露
キャサリンは政春に、妻のエリーへ自分の体のことを早く明かすよう勧めます。しかし政春は「自分には何もできない」と苦悩を吐露します。エリーを支えたいのに、肝心のところで無力だと感じる政春の弱音が、この回でようやく言葉になります。秘密を守る強さではなく、迷う弱さを見せたことが、かえって次の一歩につながっていきます。これまで夢に向かって突き進む姿が描かれてきた政春が、ここでは初めて立ちすくむ人物として映ります。その落差が、夫婦の物語に深みを与えています。
山崎工場の試験と二つの戦線
同じころ、山崎工場では俊夫たちが政春の不在で試験がうまくいかず、焦りを募らせています。ウイスキー造りは政春の技術なしには前へ進まず、現場の停滞が家庭の苦悩と並行して描かれます。政春がどちらにも向き合いきれない状況が、二つの戦線として浮かびます。そんな政春にキャサリンは「愛があれば乗り越えられる」と励ましの言葉をかけます。打ち明けることへの恐れを、愛という一点で超えていけるのではないか。鴨居家を支えてきたキャサリンの確信が、翌日の政春の決断を後押しします。
第70回(12月18日・木)真実を知ったエリーを政春が抱きしめる
第70回は、第12週の感情の山場です。隠されていた真実がついにエリーへ伝えられ、夫婦が向き合います。号泣するエリーと、政春の言葉が交わる回です。
真実を打ち明けられ号泣するエリー
真実を打ち明けられたエリーは号泣し、放心状態に陥ります。子どもを望んでいた気持ちが大きかっただけに、その衝撃は深いものでした。エリーが感情をあらわにする場面は、シャーロット・ケイト・フォックスの演技が強く印象に残る場面として、本作の名場面のひとつに数えられます。言葉を尽くすより先に、感情がほとばしる芝居が、この回の核になっています。第67回でうわ言として漏れていた「ごめんなさい」が、ここでようやく本人の意識のなかで爆発するように噴き出します。週前半から積み上げてきた感情が、この第70回で一気に解き放たれる構成です。
「子どもの分まで生きよう」という政春の言葉
政春はそんなエリーに、「子どもの分まで精いっぱい生きなければならない」と語りかけ、強く抱きしめます。失われたものを嘆くだけで終わらせず、二人でこれからを生きようと差し出すこの言葉が、夫婦の再出発の起点になります。その会話を物陰で聞いた鴨居は、翌日から政春が出勤するよう英一郎に伝言を残して去ります。落ち込むエリーをそっとしておくのではなく、政春を夢の現場へ戻すことで夫婦を前へ向かせる。鴨居の不器用な気遣いが、ここから次の物語を動かしていきます。週タイトルの「春遠からじ」が、政春の言葉と鴨居の行動の両方に重なって響く場面です。
第71回(12月19日・金)鴨居の真意にエリーが気づく
2014年12月19日放送の第71回は、鴨居欣次郎の思いやりが静かに描かれる回です。政春を工場へ戻した鴨居の本当の狙いに、エリーが気づきます。鴨居と亡き妻、そして親子の物語が、亀山夫婦の物語と並んで重なっていきます。週の感情の山場を越えた後で、登場人物それぞれの過去と関係が静かに掘り下げられる回です。
政春を工場に戻した鴨居の本当の理由
鴨居がエリーのもとを訪ねてきます。エリーは、自分に元気を取り戻させるために政春を工場の作業へ戻したという、鴨居の真意に気づいていました。落ち込むエリーを家に縛りつけず、政春が夢へ向かう姿を取り戻させることで、夫婦の前を向かせようとする配慮です。事業家として豪放に振る舞う鴨居が、人の心の機微には誰よりも細やかだという二面性が、この場面で立ち上がります。直接慰めの言葉をかけるのではなく、回り道のような優しさで支える描き方が印象に残ります。
亡き妻を重ねる鴨居と、親子への促し
鴨居はエリーに、自分の亡き妻の姿を重ねます。妻を失った鴨居にとって、健気に生きようとするエリーの姿は過去を呼び起こすものでもありました。そんな鴨居に対し、エリーは英一郎と向き合うよう促します。母を亡くしてからすれ違ってきた鴨居と英一郎の関係に、外側からそっと橋を架けるエリーの言葉が、翌日の和解への伏線になります。支えられる側だったエリーが、今度は誰かを支える側へ回るところに、この回の転換があります。自分の悲しみが癒えきらないうちに他者へ手を差し伸べるエリーの姿が、週を貫く愛のテーマを体現しています。
第72回(12月20日・土)養子の話が舞い込み夫婦が前を向く
2014年12月20日放送の第72回は、第12週を締めくくり、新たな家族のかたちが示される回です。鴨居親子の和解の報せと、思いがけない養子の話が、政春とエリーのもとに届きます。重い試練で始まった一週間を、希望の方向で結ぶ大切な回になっています。
鴨居と英一郎の和解
帰宅したエリーが、鴨居と英一郎が和解したことを政春に報告します。母の不在をきっかけにこじれていた鴨居親子が、ようやく向き合えたという知らせです。エリーの促しが実を結んだかたちで、悲しみの週のなかに差し込む明るい場面になっています。誰かのために動いたことが、巡って自分たちの心も少し軽くする、その連なりが描かれます。第67回から続いてきた重い空気が、ここで少しずつほどけていく流れになっています。亀山夫婦の苦悩と鴨居親子の和解という二つの線が、第72回でひとつに結ばれます。
キャサリンが持ちかけた養子の話
政春はエリーに、キャサリンから養子の話を持ちかけられたことを伝えます。キャサリンの知り合いの教会が、親と離れてしまった赤ん坊を預かっており、その子を引き取らないかという申し出でした。子どもを産めなくなった自分を責めるエリーに、政春は「ウイスキー造りという夢とエリーがいれば、他には何もいらない」と伝え、抱きしめます。血のつながりだけが家族のかたちではないという問いかけが、ここで静かに差し出されます。この養子の話が、次週以降に迎える新しい家族へとつながっていきます。迎える女の子には、やがてエリーとマッサンの頭文字をとった名が贈られることになります。冬の試練の先に、春の兆しがのぞく週の幕切れです。週の最後に喪失ではなく希望を置くこの構成が、第12週全体を貫く「冬来たりなば春遠からじ」の主題を、はっきりと結晶させています。
『マッサン』第12週のネタバレまとめ
第12週「冬来たりなば春遠からじ」では、エリーが出産の難しい体だと判明し、政春はその真実を打ち明けるか迷い続けます。キャサリンの「愛があれば乗り越えられる」という言葉に背中を押された政春は、号泣するエリーを「子どもの分まで生きよう」と抱きしめます。鴨居は政春を山崎工場へ戻すことでエリーの立ち直りを促し、その真意に気づいたエリーは鴨居と英一郎の和解を取り持ちます。週の終わりには、キャサリンから身寄りのない赤ん坊を引き取る養子の話が舞い込み、夫婦は新たな家族のかたちへと歩み出します。第67回から第72回まで、夫婦と親子の愛が幾重にも描かれた一週間です。
この第12週は、半年間の放送のおよそ折り返しにあたります。亀山政春とエリー、鴨居親子、そしてキャサリン、それぞれの親子の愛が並べて描かれ、子を授かれなくとも新しいかたちで結ばれていく愛が一貫したテーマになっています。喪失から始まりながら、最後には養子の話という希望で締めくくる流れが、週タイトル「冬来たりなば春遠からじ」とそのまま重なります。後半戦への橋渡しとして、物語の軸が「ウイスキー造り」だけでなく「家族のかたち」にも置かれていくことを示す週です。
『マッサン』第12週──物語の読みどころ
この週の読みどころは、「子を授かれない」という喪失を、別のかたちの愛へと転じていく構成にあるのだと思います。政春は嘆きで終わらせず「生きよう」と前を向かせ、鴨居は不器用な気遣いで夫婦を支え、エリーは自らの悲しみのただ中で鴨居親子の仲を気にかけます。支える側と支えられる側が入れ替わりながら愛が巡る描き方は、本作前半の折り返しにふさわしい厚みを持っているように感じます。週タイトルが告げるとおり、冬の試練の先に春の兆しとして養子の話を置く幕切れも、次週への期待を静かに高めています。亀山政春のモデル・竹鶴政孝とリタ夫妻にも養女を迎えた史実があるとされ、ドラマの選択がモデル夫妻の歩みとどう重なっていくのかも、後半を読み解く一つの鍵になりそうです。

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