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『らんまん』第8週「シロツメクサ」ネタバレあらすじ感想

NHK連続テレビ小説『らんまん』の第8週「シロツメクサ」では、東京大学植物学教室に通い始めた槙野万太郎(神木隆之介)が学生たちとの摩擦に苦しみながらも立ち直り、ついに「日本中の植物を載せた植物図鑑を作る」という生涯の目標を言葉にする。第36回から第40回(2023年5月22日〜26日)の5日間を通じて、万太郎が孤立から「三人の仲間」を得るまでの軌跡と、白梅堂の寿恵子(浜辺美波)との植物会話が引き出した壮大な夢の誕生を詳述する。

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目次

『らんまん』第8週「シロツメクサ」のあらすじ(俯瞰)

第8週は、万太郎が東京大学植物学教室で「いてもいなくてもよい存在」として扱われることへの葛藤を正面から描く週だ。助教授・徳永(田中哲司)や学生たちは「正規でない万太郎」を同等の研究者として認めないが、かといって追い出す理由も田邊教授の許可がある以上は作れない。孤立した万太郎を支えたのは、十徳長屋の住人・土居倫(いとうせいこう)と竹雄(志尊淳)だった。東京の植物を採集する機会に、学生の波多野(前原滉)・藤丸(前川優希)が初めて万太郎の植物への熱量を直接目にし、関係が変わり始める。そして週の終わりに万太郎は、寿恵子との会話から「日本すべての植物を記録した図鑑を作る」という目標を見つけ、まず「植物学雑誌」を創刊するという構想を仲間に語る。

第36回(5月22日・月曜)万太郎、教室で「透明人間」になる

第8週の冒頭となる第36回は、田邊教授から出入りを許可されたはずの万太郎が、実際の教室では「いないも同然」の扱いを受けるという現実を描く。

「正規でない者」というガラスの壁

東京大学植物学教室では、学生たちの多くが帝国大学入試を経て入学した正規学生だ。試験勉強・語学(主にドイツ語・英語)・論文執筆という高密度のカリキュラムを抱える彼らにとって、小学校中退で試験も資格もない万太郎は「ルールの外から来た異分子」に映る。万太郎が標本棚の近くで観察していると、誰も声をかけない。作業卓を借りようとすると「先輩の場所だ」と言われる。会話に加わろうとすると話題が変わる。これらは直接的な攻撃ではないが、「あなたはここに属していない」という無言のメッセージとして機能している。万太郎はその空気を感じ取りながらも、顕微鏡の使い方を横から観察して黙って習得しようとする。その姿は惨めでもあるが、植物への集中が万太郎に妙な平静さを与えている。

「睡眠不足の学生たち」──研究者の消耗と万太郎の気づき

第36回で万太郎が気づくのは、学生たちが睡眠時間もとれないほど忙しいという事実だ。講義・実習・論文作成の締め切りに追われる学生の目の下には隈があり、作業中に居眠りする者もいる。万太郎は怒りではなく「この人たちは植物が好きで来ているのか、それとも学位のために来ているのか」という疑問を持つ。この問いはドラマ全体を貫く「学問と制度」というテーマの一つだ。第36回の視聴率は約16.5%で、前週から安定した推移を維持した。

東京大学植物学教室が入っていた「青長屋」は、本郷の旧東京大学構内にあった木造建物だ。明治初期の大学建築として記録されており、万太郎が出入りした実際の建物に相当する施設として、学術資料に記録が残っている(出典:東京大学理学部百年史)。

第37回(5月23日・火曜)竹雄が働く西洋料理店、倫が万太郎を励ます

第37回は、万太郎の孤立を外から支える人々が動く回だ。竹雄と十徳長屋の住人・土居倫(いとうせいこう)が、それぞれの立場から万太郎に接近する。

西洋料理店「蝶屋」で竹雄が見たもの

竹雄が働く「蝶屋」は根津に程近い西洋料理の店で、明治初期の東京では珍しい「洋食の場所」だ。竹雄はここで食材の仕込みや皿洗いをしながら、来店する客たちを観察している。東京大学の教職員や学者が来ることもあり、竹雄は万太郎が植物学教室でどういう扱いを受けているかを間接的に知ることになる。第37回で竹雄が教室で孤立する万太郎を訪ね、「大丈夫ですか」と一言告げる場面は短いが、二人の関係の深さを凝縮している。言葉で励ますのではなく、ただそこにいるという竹雄の支え方が、のちの万太郎の研究人生全体を象徴するものとして描かれる。

土居倫の「解釈」が万太郎を動かす

十徳長屋の住人・土居倫(いとうせいこう)は、万太郎が落ち込んでいるのを見て独自の解釈で励ます。「あの教室の連中が忙しすぎて余裕がないだけで、おぬしがいけないわけじゃあない」という趣旨の言葉は、万太郎の状況を客観的に見た上での正確な指摘だ。倫は生業・素性は詳らかではないが、長屋の知恵者として機能する人物として描かれる。植物学者でも学生でもない人間からの言葉が、専門的なコミュニティの中で消耗しかけていた万太郎の軸を取り戻させる場面は、「外からの視点が当事者には見えないものを示す」という普遍的な構造だ。

第38回(5月24日・水曜)万太郎が東京の植物採集へ、波多野・藤丸が同行する

第38回は、万太郎が初めて東京の植物採集に出かけ、波多野・藤丸が自然発生的に同行する回だ。教室という室内での摩擦とは別に、野外での万太郎の姿が二人の目に映る。

東京の植物相──根津から本郷、谷中の野草たち

万太郎が向かったのは、根津・谷中・上野周辺の台地と低地が交わる地帯だ。この地区は明治初期でも市街化が進みながら、寺社の境内や崖地に草本植物が残っていた。万太郎はスミレ・ハナビシソウ・セイヨウタンポポなどを観察しながら、東京固有の帰化植物が増えていることを記録し始める。採集道具を持って歩く万太郎の動きは高知の野山での採集と何も変わらないが、都市という環境で植物を探すという行為は「植物学は野山だけのものではない」という視点の拡張をもたらしている。

波多野・藤丸が「あの人は違う」と気づく瞬間

偶然同方向に向かっていた波多野猪之助(前原滉)と藤丸次郎(前川優希)は、採集中の万太郎を目にする。標本採取の手早さ、見つけた植物への反応の素直さ、ラテン語の学名をつぶやきながら手帳に記録する速度。これらは教室の中では見えなかった万太郎の側面だ。「あいつは本物の植物好きだ」という直感を二人が持つ場面は、第38回の核心だ。藤丸が「一緒に採集していいか」と声をかけると、万太郎は「もちろんじゃ」と屈託なく答える。この返しのあっけなさが、万太郎というキャラクターを体現している。史実の植物学雑誌創刊メンバーの一人・染谷徳五郎(藤丸のモデルとされる)も、牧野と最初に近づいたのは室内ではなく採集の場でだったとされる(出典:植物学雑誌創刊100周年記念誌)。

東京大学周辺の谷中・根津地区は、明治初期から現在まで多様な草本植物が残る都市植生の貴重なエリアだ。1980年代以降の都市植物調査では、牧野富太郎が記録した種の一部が今日も根津神社周辺で確認されていると報告されている(出典:東京都植生調査報告書)。

第39回(5月25日・木曜)波多野・藤丸から田邊教授の「別の顔」を聞く

第39回は、田邊教授という人物の多面性が描かれる回だ。万太郎が知っている「研究者・田邊」とは別の側面を、波多野と藤丸が教えてくれる。

「田邊教授は別の顔を持っている」

波多野と藤丸から万太郎が聞かされたのは、田邊教授が学内では厳格な権威として振る舞う一方、教室の外では実は草花を愛でる情緒的な面を持つという話だ。二人は植物園での田邊の姿を目撃した経験から、「あの教授は研究以外の場所では違う顔がある」と伝える。この「多面性」は、田邊教授という人物が単なる「権威の障壁」ではなく、植物学への本物の愛情を持ちながら組織の論理の中で動く複雑な人間として描かれる伏線になっている。史実の矢田部良吉教授も、当初は牧野富太郎を歓迎しながら後に追い出す側に回ったという複雑な経緯があり、ドラマはその二面性をこの段階から匂わせている(出典:PRESIDENT WOMAN Online「朝ドラで描かれた東大教授と牧野富太郎のドロドロ確執」2023年)。

寿恵子と牡丹の菓子──創作から着想への連鎖

第39回の終盤、白梅堂を訪れた万太郎は寿恵子から新しい和菓子を見せてもらう。それは、万太郎が前週に贈ったボタン(牡丹)の植物画を参考に、寿恵子が考案した牡丹をモチーフにした上生菓子だった。花びらの重なりを餡の折り方で表現した菓子の精緻さに、万太郎は驚く。「植物の形が菓子になった」という驚きは、万太郎の中に「植物の記録は紙の上だけのものではない」という視点をもたらす。寿恵子が菓子作りを通じて万太郎の植物画と呼応するという場面は、二人の関係を「理解し合う創作者同士」として位置づける重要な場面だ。第39回の視聴率は約17.0%で、週の中の高水準を記録した。

第40回(5月26日・金曜)「日本中の植物を載せた図鑑を作る」──万太郎の決意

第8週の締めとなる第40回は、『らんまん』全体でも最重要エピソードの一つに位置づけられる。万太郎が「植物図鑑を作る」という生涯の目標を、初めて口にする回だ。

寿恵子との会話が生んだ「壮大な夢」

白梅堂での会話の流れから、万太郎は寿恵子に「日本中の植物を全部集めて、その名前と形を記録した図鑑を作りたい」と語る。東京大学にある西洋の植物図鑑には日本の植物が不完全にしか載っていないこと、日本の植物を日本人が記録して後世に伝える必要があることを、万太郎は寿恵子に向けてではなく、思考が声になるような形で打ち明ける。寿恵子は笑わずに「できますか」と聞く。万太郎は「できる。する。」と答える。このシーンは、史実の牧野富太郎が一生をかけて達成した「牧野日本植物図鑑」(1940年初版)の原点を表している。牧野は実際に「日本の植物を全部記録する」という宣言を若い時期に周囲に語っていたとされる(出典:高知県立牧野植物園公式「牧野富太郎の夢」)。

波多野・藤丸・丈之助と「植物学雑誌」構想が動き出す

「図鑑を作る」という目標を持った万太郎が、その前段として「まず植物学の雑誌を作って発表の場を作ろう」と波多野・藤丸・丈之助に語る場面が第40回の後半だ。丈之助(山脇辰哉)は十徳長屋の住人で、医学を学びながら万太郎と交流のある人物として登場する。四人が机を囲んで「創刊したらどんな論文を載せるか」「費用はどう工面するか」と話し合う場面は、後に実際に創刊される「植物学雑誌」(1887年・明治20年)の原点として描かれる。史実では牧野富太郎・市川延次郎・染谷徳五郎の三人が植物学雑誌を創刊しており、ドラマでは波多野・藤丸・丈之助をそのモデルに当てはめている(出典:植物学雑誌1887年創刊号)。第40回の視聴率は16.9%、週平均は約16.6%だった。

「植物学雑誌」は1887年(明治20年)に創刊され、現在も「植物学雑誌(The Botanical Magazine, Tokyo)」として継続する日本最古の植物学専門誌の一つだ。創刊時の第1号には牧野富太郎による土佐の植物報告が掲載されており、万太郎の「やり遂げる」という姿勢は史実と一致する。

『らんまん』第8週「シロツメクサ」ネタバレまとめ

  • 万太郎が東京大学植物学教室で「透明人間」として扱われ孤立しかける(第36回)
  • 十徳長屋の住人・土居倫と竹雄が万太郎を外から支える(第37回)
  • 万太郎が東京(根津・谷中・上野周辺)での植物採集に出かける(第38回)
  • 植物採集で波多野猪之助・藤丸次郎が万太郎の本物の熱量を目撃し関係が変わり始める(第38回)
  • 波多野・藤丸から田邊教授の「もう一つの顔」を聞かされる(第39回)
  • 寿恵子が万太郎のボタン植物画から着想した牡丹の上生菓子を万太郎に見せる(第39回・視聴率約17.0%)
  • 万太郎が「日本中の植物を載せた植物図鑑を作る」という生涯の目標を言語化する(第40回)
  • 波多野・藤丸・丈之助と「植物学雑誌」の創刊構想が始まる(第40回)
  • 週平均視聴率は約16.6%で推移

第8週の時代背景──鹿鳴館の時代と「欧化」の空気

第8週の背景にある1884年(明治17年)の東京は、鹿鳴館外交の最盛期だ。1883年(明治16年)に竣工した鹿鳴館では外務卿・井上馨が主導する「欧化政策」が本格化しており、女性が洋装でダンスをするという行為が「日本が文明国である証明」として政府関係者の間で推奨された。寿恵子がダンスへの憧れを持つ場面は、この社会の空気が根津の菓子屋の娘にまで届いていたことを示している。

一方、東京大学植物学教室ではドイツ語・英語の植物学論文を読みこなす能力が重視され、植物学の「西洋化」が最も先鋭的に進んでいた場所の一つだった。万太郎が持ち込んだ「土佐植物目録」は、ラテン語学名より和名・俗名を優先した記録法を取っており、西洋の基準とは方法論的に異なる。しかし田邊教授がそれを「出入り許可」という形で受け入れたことは、純粋に観察記録の質を見たということだ。「欧化」という大きな潮流の中で「日本の植物を日本人が日本語で記録する」という万太郎の方向性は、この週の終わりに「植物図鑑を作る」という宣言として具体化する。

第8週の登場人物・キャスト

第8週に登場する主要キャストを一覧にする。波多野・藤丸が万太郎の仲間として動き始める週だ。

役名俳優第8週での動き
槙野万太郎神木隆之介植物学教室で孤立→東京採集で波多野・藤丸と接近→植物図鑑・雑誌の構想を語る
槙野寿恵子浜辺美波牡丹の植物画から着想した和菓子を万太郎に見せる。鹿鳴館への参加を決意
竹雄志尊淳西洋料理店「蝶屋」で働きながら、孤立した万太郎を訪ねて支える
土居倫いとうせいこう十徳長屋の住人。万太郎に「おぬしのせいじゃない」と的確な言葉をかける
波多野猪之助前原滉採集の場で万太郎の本物の熱量を目撃し、積極的に近づき始める
藤丸次郎前川優希波多野とともに万太郎の植物採集に同行。植物学雑誌の構想に加わる
倉木丈之助山脇辰哉十徳長屋の住人・医学生。万太郎の植物学雑誌構想に加わる

第8週の名シーン・名セリフ

第8週で特に記憶に残る場面を3点取り上げる。

まず、第40回の「できる。する。」という万太郎のセリフだ。寿恵子から「できますか」と聞かれた万太郎が告げたこの二語は、『らんまん』全体のキャッチコピー的な一言として放送後に広く引用された。NHKの公式Xアカウントが第40回放送後に「できる。する。」を投稿し、多くのリポストが行われた(出典:NHK「らんまん」公式X、2023年5月26日)。

次に第38回の「採集場での三人の出会い」だ。波多野・藤丸が採集中の万太郎の動きを初めて目撃する場面は、「言葉より行動が人を動かす」というテーマを体現している。第8週でもっとも視聴者が「万太郎がかっこいい」と感じた場面として複数の感想サイトで挙げられた(出典:ドラマ感想サイト複数・2023年5月)。

そして第39回の「寿恵子の牡丹の上生菓子」場面だ。植物画が菓子へと変換されるこの場面は、二人の創造性が呼応するという視覚的な詩として成立している。菓子の色と形の美しさが画面で映えた場面として、後年の再放送・配信視聴者からも語り継がれている。

第8週の視聴率

『らんまん』第8週「シロツメクサ」の視聴率(関東地区・ビデオリサーチ調べ)は週平均約16.6%で推移した。第36回から第40回を通じて最高値は第39回(5月25日・木曜)の約17.0%で、寿恵子と万太郎の牡丹菓子の場面が含まれる回への注目の高さが反映された。第40回の「できる。する。」という台詞への反応も多く、翌日以降のSNS上での言及は多かったと複数のメディアが伝えている。

次週・第9週「ヒルムシロ」の見どころ

第9週「ヒルムシロ」では、万太郎と波多野・藤丸が植物学雑誌の創刊に向けて動き始める。田邊教授から創刊への許可を得る交渉と、万太郎の心に芽生え始めた「寿恵子への気持ち」の葛藤が並走する。さらに、高藤(福士誠治)という実業家が寿恵子に目をつけ始め、万太郎が演奏会の場で寿恵子を目撃する場面が第9週の核心となる。ヒルムシロは池や川に生息する水草で、牧野富太郎が東京の採集で見つけた植物の一つとされており、週タイトルとしての植物名が「学問と恋の両面が絡み合う水の中」という象徴として機能する。

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【出典】
・NHK「らんまん」公式サイト https://www.nhk.or.jp/ranman/
・NHK「らんまん」公式X 2023年5月26日投稿
・高知県立牧野植物園公式「牧野富太郎の夢」解説 https://www.makino.or.jp/
・PRESIDENT WOMAN Online「朝ドラで描かれた東大教授と牧野富太郎のドロドロ確執」2023年
・植物学雑誌1887年創刊号(国立国会図書館デジタルコレクション)
・ORICON NEWS「らんまん第8週振り返り」2023年5月29日
・東京都植生調査報告書(東京都環境局)
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